「再逮捕に合理性ない、共に闘う」 弁護人が記者会見

2019/4/4 22:09
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日産自動車元会長、カルロス・ゴーン容疑者(65)の弁護人の弘中惇一郎弁護士が4日、日本外国特派員協会(東京・千代田)で記者会見し、「逮捕に合理的必要性はない」と検察に対する批判を展開した。弁護団は勾留先の東京拘置所でゴーン元会長と面会。容疑を否認しているといい「元会長と共に闘う」と徹底抗戦の構えをみせた。

記者会見する弘中惇一郎弁護士(4日、東京都千代田区)

弘中弁護士はオマーンを舞台とした再逮捕容疑を「目新しい案件ではなく、通常なら追起訴で収まる話」と強調。「元会長は裁判所から証拠隠滅や逃亡の恐れがないと確認され、保釈条件も守った」と述べ、「身柄拘束の状態を利用し、被告に圧力をかける人質司法といえる」と訴えた。

ゴーン元会長は4日早朝、保釈後に生活する都内マンションで逮捕状を執行され、公判資料や日記も押収された。弘中弁護士は「捜査に必要な書類は過去の逮捕時に押収済みのはず。今回の捜索は弁護権の侵害だ」と語った。

弘中弁護士によると、弁護側を交えた公判準備の協議の場で、裁判所は検察に余罪捜査の見通しを3月末までに明らかにするよう求めていた。期日までに検察から明確な回答はなかったといい、問い合わせにも「何とも答えられない」と曖昧な態度が続いた。「よもや再逮捕するとは。強く抗議したい」と憤った。

逃亡の恐れ判断、日産損害も考慮 東京地検

東京地検の久木元伸次席検事は4日の定例の記者会見で、保釈中の日産自動車元会長、カルロス・ゴーン容疑者(65)を再逮捕したことについて「逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断した。日産に5億円以上の損害を与えたなどの事情も考慮した」と述べた。

厳しい保釈条件が課されたゴーン元会長の再逮捕の是非を問う質問には「(保釈された)特別背任事件とは登場人物も目的も態様も異なる」と必要性が認められるとの立場を強調。ゴーン元会長が3日にツイッターを開始し11日に記者会見を開くことを表明したことは「(逮捕とは)まったく関係ない」とした。

元東京高裁部総括判事の門野博弁護士の話 今回の逮捕について、改めて身柄を拘束する必要があったか疑問だ。前回の保釈条件に厳しい行動制限が課され、罪証隠滅は考えにくい。高額の保釈保証金などを考えると逃亡の恐れがあるとも思えない。
 検察は証拠を固めて在宅で処理すべきだったのではないか。仮に勾留請求が認められても逮捕に伴う勾留は最大20日間で、検察自ら期限を設けることになり、意図が理解できない。
 公判前整理手続きの準備が進んでいた公判への影響は必至だ。本人と弁護士との打ち合わせがスムーズにいかず、争点整理にさらに時間がかかる。これまでの事件と併合して審理する流れが想定され、早ければ今秋といわれた初公判が半年間は遅れる可能性がある。
 裁判所の判断が注目される。今回、勾留請求を簡単に認めれば「人質司法」との批判が再燃しかねない。請求の却下もあり得るのではないか。
元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士の話 保釈後の再逮捕はまったくの異例とは思わない。捜査共助に基づく中東各国での証拠収集に時間がかかっただけだろう。在宅捜査では取り調べの過程で検察の手持ち証拠を推認でき、関係者と連絡を取るなどして罪証隠滅の恐れがある。逮捕は必要だったといえる。
 今回の「オマーンルート」は、金の流れを立証できれば「任務に背いて自己または第三者の利益を図る目的」という特別背任罪の要件を満たすのは明らかだ。特捜部にとって大きな意義がある。
 家宅捜索には事件の解明に加え、元会長が保釈条件に違反していないか調べる目的もあったとみられる。条件違反の事実が認められれば、今回の勾留で保釈が認められにくくなる可能性がある。
 かつての特捜検事の感覚でいえば、平成の事件は平成のうちに終わらせる。令和に持ち越さない意味でぎりぎりのタイミングだったとも思う。
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