2019年9月21日(土)

車好きをうならせた走りと実用性(平成のアルバム)
スバル「レガシィ」

2019/4/6 6:30
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90年代にヒットした「レガシィ」の初代ワゴン=スバル提供

90年代にヒットした「レガシィ」の初代ワゴン=スバル提供

平成が始まった1989年、四輪駆動による優れた安定性と、水平対向エンジンによる個性的な走りで車好きを魅了する車が誕生した。SUBARU(スバル)のレガシィ。「気持ちいい走りの実現」を目指して開発され、アウトドア向けのレクリエーショナル・ビークル(RV)ブームを追い風に、90年代に大ヒットした。

セダンとワゴンの2タイプが販売されたが、セダンに劣らない走行の安定性に加え、大きな荷物も詰めるワゴンタイプが人気だった。「高級車に乗ることがステータスだったバブル時代が終わり、豊かなライフスタイルを実現する車が生まれた」と自動車評論家の岡崎五朗さんは説明する。

バブル絶頂期だった80年代後半は、高級車でデートに出かけたり、友達を乗せたりすることが若者の憧れ。だが、バブルが崩壊に向かう90年代に入ると、RVに乗ってキャンプやスキーに出かけることに魅力を感じるアウトドア志向の若者が増えた。

レガシィのヒットの要因は高い操縦安定性。エンジンの動力が4つの車輪すべてに伝わる四輪駆動が山道でも安定した発進を可能にした。振動が小さく低重心の水平対向エンジンは滑らかなコーナリングと安定した走行を生み出した。同社広報部の担当者は「世界で通用する性能を持ち、気持ちのいい走りができる車として企画された」と話す。

90年代、経営危機に陥っていた富士重工業(現スバル)はレガシィの大ヒットで息を吹き返し、ステージア(日産自動車)やレグナム(三菱自動車)など各社がワゴン車を投入するなど、ワゴンブームのきっかけとなった。

40代の男性記者は3代目レガシィのワゴンタイプで福島県の磐梯吾妻スカイラインを走ったときの感動を語る。「ハンドルを切ると、吸い付くように曲がっていく路面追従性。四輪駆動と重心の低い水平対向エンジンのなせる業だった。あれだけの人気車がなぜ廃止されたのか、いまだにふに落ちない」

14年、レガシィのワゴンタイプは同じワゴン車「レヴォーグ」の発売にあわせて廃止された。レガシィの国内販売台数は96年度の約9万3千台から、13年度には約2万台にまで落ち込んだ。岡崎さんによると、リーマン・ショック(08年)などの影響から経済への不安感が高まり、価格の低い軽自動車に人気が集まるようになったという。それでも「レヴォーグ」に運転の快適さは引き継がれ、今もドライバーに走る楽しさを届けている。

レガシィ 主に30代以上の男性をターゲットに発売されたSUBARU(スバル)の人気シリーズ。「大いなる伝承物」「後世に受け継がれていくべき車」という意味を込めて「レガシィ」と名付けられた。初代の販売価格は約130万~約270万円。現在はセダンタイプと多目的スポーツ車(SUV)が300万円前後で販売されている。
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