2019年5月23日(木)

五輪のミカタ(北島康介)

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地元五輪、「注目」を味方にできるか

2019/4/4 17:49
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僕が生きているうちに五輪が日本にやってくるとは思っていた。東京で生まれ育った僕にとっても特別な気持ちだ。もし16年リオデジャネイロ五輪に出ていたら(選考会で0秒3タイムが足りなかった)、「まだ戦えるかも」と目指したかもしれない。そう思うと、何も言えなくなる。

北島康介氏

北島康介氏

選手時代、子供たちに「ああなりたいなあ」と夢を持ってもらえる存在でいたいと思っていた。僕の活躍に刺激を受けて多くの後輩が出てきて、東京五輪を目指してくれている。五輪は別格です。僕も憧れた林享さんの1992年バルセロナ五輪(100メートル平泳ぎ4位)の活躍は鮮烈に覚えているけれど、世界選手権はさっぱり記憶にない。地元の五輪だったら、刺激を受ける子の数も桁違いに多い。そこは正直、うらやましい。

開催国がメダルを量産する理由は色々言われる。生活リズムを作りやすい、国が強化に力を入れるなど。でも何と言っても注目されるからだと思う。僕が日本で戦った唯一の大きな国際大会だった01年の世界選手権ですら、「こんなに日本人って応援してくれるんだ」と肌で感じた。会場が一致団結した雰囲気に押され、当時は苦手だった200メートル平泳ぎでまさかの銅メダルを獲得。これぞ応援の力、だったのだろう。

地元の大きな応援が選手たちの力になる=共同

地元の大きな応援が選手たちの力になる=共同

ただ、実は競泳は応援などの外的な力が勝敗に影響を与える可能性はかなり少ないと思っている。積み重ねてきたことがそのまま結果に出る競技だからだ。ライバルからの圧は感じても、レース中に邪魔は入らない。そこは自分だけの世界。日々の練習や試合でコツコツとやってきたことを表現すればいい。それで負けたら実力が足りなかったということだ。

採点競技のように声援を味方につけなければいけない競技もある。駆け引きの要素がある球技や格闘技も、会場の空気が勝敗を左右する面があると思う。「あの時こういう作戦をとればよかった」と悔しい思いを重ねて経験値を高め、強くなっていく。それでも勝負のあやで見誤るときがある。リオで様々な競技を観戦して思った。

僕自身は海外の方が気持ちが入りやすかった。時差や現地の食事に注意して体調を整える分、感性が研ぎ澄まされ、自然と集中できた。日本だと雑音も聞こえてくるし、あまりに環境がよくてカンが鈍くなる面があった。

午前決勝となる東京五輪の競泳陣はしんどいと思う。08年北京五輪もそうで、朝に決勝を泳いだ後、もう一度、気合を入れて夜の予選を泳ぐのが気持ち的にきつかった。ホームの安心感と変則日程に合わせる緊張感が、適度な集中力につながるといいと思う。

 きたじま・こうすけ 1982年9月22日、東京都出身。競泳平泳ぎで五輪に2000年シドニーから4大会連続で出場。04年アテネ、08年北京で連続2冠に輝いた。16年に引退、現在は東京都水泳協会の副会長を務める。

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