2019年8月25日(日)

米中貿易協議 閣僚級再開 米、制裁関税の全廃難色

2019/4/4 16:08
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【ワシントン=河浪武史】4月中の合意を目指してきた米中の貿易交渉が正念場を迎えている。3日に閣僚級協議を再開し、制裁関税の撤廃時期などを巡って詰めの協議に入った。中国は米国製品の輸入拡大や国有企業の優遇見直しなどを提示したものの、米国は制裁関税の即時全廃ではなく段階的な引き下げを主張。世界景気の下振れ懸念が強まる中、米中の駆け引きがなお続く。

中国の劉鶴副首相がワシントン入りし、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表やムニューシン米財務長官らと協議を始めた。劉氏は4日にはトランプ大統領とも会談する。ここで首脳会談の日程を決める可能性もある。両国はなお4月中の首脳会談で最終決着する方向で議論しており、今回の閣僚級協議は週末を含め最大5日間になるとの見方も出ている。

中国は液化天然ガス(LNG)など米国製品の輸入拡大策を米国側に示し、3月の全国人民代表大会(全人代)では外資の技術移転強要を禁じる「外商投資法」も成立させた。中国の産業政策の抜本転換を求めてきた米国も「大きな進展があった」(ライトハイザー氏)と一定の評価を下す。

ただ、米当局から協議内容の報告を受けた全米商工会議所の幹部は「交渉の90%は決着したが、残る10%が難題だ」と指摘する。

焦点は制裁関税の撤廃時期と規模だ。トランプ氏は3月に「一定期間は関税が残る」と述べ、制裁関税の即時全廃に慎重な考えを主張した。米政府関係者は「中国の譲歩策の度合いに応じ、関税を段階的に撤廃することを検討している」と指摘。中国側が合意に反しないよう、2500億ドル(27兆8000億円)分の中国製品に課す制裁関税の一部を残す考えだ。

ただ、中国側は「2018年12月の首脳会談ですべての追加関税を取り消す方向で一致した」(商務省の王受文次官)と主張する。米国側に監視され続ける仕組みを残せば、習政権の威信に関わりかねない問題となる。

中国が合意に違反したと判断すれば米国が制裁関税を再発動する「罰則条項」でも溝が残る。米国は中国の報復措置も封じる「米国に有利な一方的な条項」(ライトハイザー氏)を主張する。「中国は約束を破り続けてきた歴史だ」(ナバロ大統領補佐官)と不信感が根強いためだが、「主権侵害になりかねない」との警戒がくすぶる中国世論を強く刺激する懸念がある。

米政権は中国との交渉が決裂すれば、2000億ドル分の中国製品に課す10%の関税を25%に引き上げると脅してきた。トランプ氏は引き上げ時期を先延ばししているが、両国は4月中の首脳会談で決着をつける方向で議論してきた。ただ、今回の閣僚級協議で合意のメドが立たなければ「月内の最終決着は難しい」(米中交渉筋)。

トランプ氏は「合意を急ぐのではなく、真のディール(取引)にすることが重要だ」と主張し始めており、4月中の決着にこだわりをみせていない。米株価は18年後半に急落したが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止などで持ち直してきたことが強気の交渉姿勢につながっている。

だが米中協議が再び泥沼に入れば、経済や市場への逆風も再び強まる。国際通貨基金(IMF)は米中交渉が決裂して制裁措置が強まれば、両国の貿易は長期的に最大7割減ると警鐘を鳴らす。

中国は米政権を弱体化させる「ロシア疑惑」を注視していたが、トランプ氏は大きな政治危機を乗り越えた。同氏は拙速な合意を避ける政治的な余裕を得たといえるが、月内決着にメドがつけられるか。減速感の強まる世界経済の行方を左右する交渉となる。

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