アマゾン・楽天、ハイテク物流競う 「走る棚」や無人配送 競争力維持へ効率化

2019/4/4 13:22
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ネット通販大手2社が物流倉庫への最先端技術の導入を競っている。アマゾンジャパン(東京・目黒)は、人の代わりに商品棚が走り回る国内2拠点目の物流倉庫を大阪で本格稼働させた。楽天は大学や外部企業の無人配送技術を取り込む。通販の市場規模が拡大するなか、物流を担う人材は不足している。物流のIT(情報技術)化による生産性の向上が急務だ。

オレンジ色の箱形のロボットが商品を保管している棚の下に潜り込み、従業員が作業している場所まで届ける。商品の保管棚の場所をシステムで管理し、注文が入るたびに棚が移動する。棚が到着すると作業者は画面に表示されたモノを棚から取り出し、バーコードをスキャンして配送用のコンテナに移し替える。

アマゾンは4日、大阪府茨木市の新型物流倉庫を報道陣に公開した。通常の物流拠点では人間が棚まで目的の商品を取りに行く。ロボットを活用することで延べ床面積約6万4千平方メートルの広大な倉庫内を歩き回る必要がなくなる。同日記者会見したジェフ・ハヤシダ社長は「従業員の作業負担を大幅に減らせる」と強調した。

同システムの国内での導入は16年に稼働させた川崎市に続く2例目。ロボットが運べる棚の重量は567キログラムと、川崎市の拠点に比べて7割増やした。ロボットは床面に貼ったQRコードをもとに自分の位置を把握し、秒速1.7メートルで目的地に向かう。センサーを搭載し、障害物などを自動で避けることもできる。

商品の大きさを画像センサーなどで感知し、段ボールが適切な大きさに切り分け、自動的に梱包される――。楽天は日本やパリ、米ボストンなどに拠点を置く楽天技術研究所で物流の自動化に関する技術開発を進めている。千葉県市川市などの物流倉庫でこのほど、同研究所で開発した自動梱包装置を導入した。

同社は最新技術の取り込みに向けた外部企業や大学などとの連携も進める。2日には東北大学と包括連携協定を締結した。階段を上ることができる無人配送車や新型ドローンなどの技術を取り込むほか、同大学のキャンパスを利用した無人配送の実証実験も実施したい考えだ。三木谷浩史社長は「楽天独自でできなかった研究開発が実現できる」と強調する。

2月には中国のネット通販大手、京東集団と物流分野で提携した。京東の開発した地上配送ロボット(UGV)やドローン(小型無人機)を使って、過疎地や住宅地へ荷物を配送するサービスを想定している。

各社が物流のIT化を急ぐ背景には、物流コストの増大がある。厚生労働省によると、2月のトラックドライバーを含む自動車運転者の有効求人倍率(常用、パート含む)は3.20倍と高水準で推移している。

配送コストが増大し、事業者による出品控えが発生しかねない。品ぞろえが少なくなっては通販サイトの競争力がそがれる。事業者の負担が高まれば、出品する商品価格の引き上げを招き、価格競争力が弱まる恐れもある。電子商取引(EC)事業者にとって物流の効率化が競争力維持に不可欠になっている。

富士経済によると自動化技術や人工知能(AI)などを使った次世代物流システム・サービスの市場規模は、2025年までに3兆8743億円と、17年比で9割増えるという。EC市場の成長に伴い物流技術への投資拡大は続きそうだ。

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