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「できない理由考えず」「社内でナンパ」若手の仕事術

ビズリーチ野村吉貴さん・バンダイナムコAM山下友美さん

日本経済新聞社は商品企画、マーケティングにかかわる30歳前後の若手会社員8人に集まってもらい、仕事で大切にしていることなどをテーマに議論してもらいました。その中の2人には、個別にお話も伺いました。

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「できない理由は考えない」

ビズリーチの野村吉貴さんは、自社の企業理念を暗記されているそう。「特に、クレド(信条)の『できる理由から始めよう』が好きで、自分の行動原理になっている」と言います。

――マーケティング部門のマネジャーを務めている「キャリトレ」について教えてください。

「成長意欲が高く、自分が活躍できる環境を求める20代向けの転職サイトです。転職エージェントを介したやりとりだけでなく、企業から直接求人のオファーが届く場合もあります。20代は転職未経験の人も多いため、いきなり求人に応募することにためらいを感じる人が多いです。でもその企業の求人に関心はある。そこで転職希望者が『興味がある』ことを企業に対して示せるように『興味がある』ボタンという機能を提供し、応募までのハードルを下げています」

――最近取り組んだプロジェクトについて紹介してください。

「キャリトレに求人を出している企業や今後顧客になりうる企業の人事担当者向けにも、転職未経験の若手社会人の特徴を理解してもらえるように『インサイトブック』を作りました。ユーザーの転職機会を増やすためには、求人を出す側にも彼らの特徴を理解してもらう必要があるからです。20代の男性を『堅実派』『個人主義』など12のタイプ別に分け、彼らの描く理想のキャリアや転職を紹介しています。企業向けにしたのは、『ブック』を作る費用に対し得られた収益(ROI)を測定しやすいと考えたからでもあります」

――仕事をするときに大切にしている考え方や理念はありますか。

野村さんが手がけた「インサイトブック」

「私は2017年にサイバーエージェントからビズリーチに移りました。転職産業に関わることで、『個人が満足いくキャリアを全うする』という社会課題が解決できるのではないかと考えたからです。この自分のビジョンは今も変わっていません」

「ビズリーチが掲げる理念も暗記しており、自分の行動原理になっています。最も共感した言葉は『できる理由から始めよう』です。仕事を始める中で、他の人がやっていないことに挑戦する勇気になっています」

「プロジェクトメンバーを集めるときに背中を押してくれるのは『巻き込み、巻き込まれよう』。仲間を巻き込めば、大きな推進力が生まれます」

マーケターに必要なのは好奇心

――マーケティング業務に必要なスキルは何でしょうか。

「まず数字に強くあるべきですね。情報化が進み、広告効果など数字がリアルタイムで分かる時代です。定性面だけでなく、定量面でも理にかなった施策を進めようと心がけています」

「好奇心も必要と考えます。なにもないところから新規施策を作る、いわゆる『ゼロイチ』は至難の業です。でも、すでに"1"だけ存在するものをカスタマイズして大きくするのは取り組みやすい。例えば広告であれば街を歩いていればいくらでも目に入る。参考にできるものはできるだけ取り入れるよう、アンテナを張っています」

――SNS戦略について教えてください。

「キャリトレではTwitterを運用しています。ただ、転職サイトのアカウントなので、実名でTwitterをしている人はフォローしにくいようです。そのため、まずはフォローしやすくなるような世界観をつくるよう努力しています。例えば、『20代の転職市場についての情報を発信しているアカウントです』というイメージづけです。これが植え付けられれば、いま転職を考えていなくても情報感度が高ければフォローしていいんだと、そういった雰囲気ができるはずです。フォロワーを増やす取り組みはまだ道半ばですね」

社内でナンパ!? アイデアを形にする突破力

バンダイナムコアミューズメントの山下友美さんは自身について「決して創造的な人間ではない」といいます。しかし「世の中の素晴らしいアイデアの種を形にして、より多くの人に広めることに関しては誰にも負けない」と仕事への熱い思いを語ってくれました。

――2018年に期間限定店として企画した「絵本の中のBAR」について教えてください。

「秘密の本の中に閉じ込められた不思議な森をテーマにしたノンアルコールカクテルバーです。植物学者の祖父の部屋にある植物図鑑を開いたら本の世界に自分が入り込んでしまったという裏設定なんですよ。店内のテーブルには本の中の森や湖や星空がプロジェクションマッピングで再現されていて、お客様の行動に応じて花が咲く、鳥が飛び去るなど、心がときめく変化が起きます。子供のころ絵本を読んだときのようなキラキラした気持ち、未知の世界に出会うときめきをもう一度思い出していただけたらと思ってつくっています」

――すてきですね。企画に行き着くまでに苦労されたと思いますが、どのようにスタートしたのでしょうか。

「弊社のサービスってストレス発散系のエンターテインメントは多いんですが、自分のペースで楽しめるエンタメはあまりなくて……。スカッとするエンタメでストレス発散することも大切だけど、大人の女性がゆったり楽しめるエンタメをつくりたかったんです」

「現代って生き方が多様化していて、何かを選択しないといけない責任とか重圧が大きいですよね。そういう方々に『自分の選択した行動で周りがすてきになっていく』そんな心ときめく体験をしてほしいと思ったんです」

バンダイナムコアミューズメントが手掛けた「絵本の中のBAR」(東京都千代田区)

「今は5人のチームですが、最初は1人でした。実現させたい思いが大きすぎて、1人で企画書を作って上司のところに乗り込んでプレゼンしました」

――どうやって説得されたんですか。

「おおよその事業数値とリスクを試算し、ビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークや写真を多用して、とにかくイメージを持ってもらえるようにしました。事業の全体像を説明しただけでいきなり『全予算をください』と言っても、会社は許可してくれないじゃないですか。まずは試験的にプロジェクションマッピングをつくることから始めました。反応が良かったので、弊社が運営する施設の中に実験的に設置して、お客様の反応を見る。このように少しずつ成功を積み重ねて、『いける』と会社に思ってもらえるようにしたことが企画を実現できた要因ですかね」

「エンターテインメントは生活必需品」

――アイデアにあふれ行動力もある山下さんは、新規事業担当者のイメージ通りです。

「そんなことないです。私は自分が創造的な人間だとは思っていません。SNS(交流サイト)などを見ていると独創的なアイデアの種を持っている人がたくさんいます。どちらかというと私は、複数のアイデアをうまくつなげて形にするのが得意です」

「私はエンターテインメントは生活必需品と考えています。『楽しい瞬間が人を生かす』と信じていて、一生を賭けるに値する仕事だと思っています。学生時代、演劇を見るのが好きだったんですけど、才能があっても金銭的に行き詰まってやめてしまう人も多かった。そういう人を見ていて、歯がゆさを感じていました。事業として発展させられる方法を見つけられれば、より広くより遠くの人に届けていける。バンダイナムコアミューズメントに入社したのも、その方法を見つけるスキルを身に付けて、埋もれていくアイデアや想いを世に出せるようになりたいと思ったからです」

――まさに夢がかなったわけですね。では、商品企画や新規事業に必要とされるスキルとはどのようなものでしょうか。

「突破力ですね。ゼロをイチに持っていく力。新しい事業を進めていくためには、ビジョンを持って、作戦をたてて自分で動かなければなりません。その際、人を説得したり仲間を増やしたり、周囲を切り開くスキルが必要になります」

「全てを全員で合意しようとすると、結局良いものがつくれないこともあるので、皆の意見は聞くけれど最終的には自分で判断するしかありません。そのバランスが難しいので日々悩んでいます」

――自分流の仕事術ってありますか。

「社内ナンパです(笑)。社内には新たな事業やサービスを開発してきた先達がたくさんいるので、自分のプロジェクトに対する客観的な意見を聞きに行きます。同じ社内といえども相手は私を全く知らない場合もあるので、そんな時は廊下で待ち構えます。偶然すれ違ったように見せかけて声をかけ、そこで自己紹介と今度相談したいことがあると伝えてアポを取ったこともありました。相談内容を明確に、『○○について意見を聞きたい』と相手に伝えることが大事だと思います。最初は緊張しますけれど慣れます(笑)」

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