英EU離脱延期を義務付け 英下院が1票差で可決
【ロンドン=佐竹実】英議会下院は3日夜(日本時間4日朝)、欧州連合(EU)離脱の延期についてEUに申請する法案を可決した。上院の可決を経て成立すればメイ首相は申請を法的に義務付けられる。関税の復活などで経済的に混乱を招く「合意なき離脱」の回避に向けた策の一つだが、英側の延期申請をEUが承認するかどうかは不透明だ。
賛成313票、反対312票の僅差で可決した。4日にも上院を経て法律が成立する。上院は追認する可能性が高い。
EUは12日までに明確な離脱方針を示すよう求めていたが、英議会は混乱を続けて離脱案をまとめられていない。何もせずに12日を迎えた場合は自動的に合意なき離脱となり経済が混乱するため、一部議員から延期申請を義務付ける法案が提出されていた。これまでも議員からの動議として可決されたケースはあったが、いずれも法的拘束力はなかった。
EUは10日の臨時首脳会議で英の離脱延期について審議するため、メイ首相はこの前に延期申請をすることになる。EU全加盟国が了承すれば短期延期が認められるが、英側は明確な離脱方針を示す必要がある。
メイ首相とEUがこれまでにまとめた離脱案は、EUルールに縛られ続ける恐れがある条項への反発が強く、英議会が否決してきた。英国は欧州議会選前の5月22日までに、離脱関連の法案を成立させてEUを円滑に離脱することを目指す。
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