2019年4月21日(日)

トヨタ、HVの全特許を開放 FCVの教訓生かせるか

自動車・機械
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2019/4/8 17:51
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トヨタ自動車は3日、ハイブリッド車(HV)など電動車の特許を無償提供すると発表した。電気自動車(EV)にも必要なモーターやパワーコントロールユニットなど電池を除く全特許を開放する。燃料電池車(FCV)の特許開放が普及につながらなかった反省から製品化も支援する。技術のオープン化により競争は激しくなり、トヨタの技術や商品の競争力が試されることになる。

記者会見するトヨタ自動車の寺師副社長(3日午後、名古屋市中村区)

記者会見するトヨタ自動車の寺師副社長(3日午後、名古屋市中村区)

「我々の技術が止まれば競争力はなくなる。自分たちに対するプレッシャーでもある」。3日の記者会見で先進技術を担当する寺師茂樹副社長は、事業拡大への期待と危機感の両面について口にした。

トヨタは2030年末まで、EV、FCV、HVの基盤技術のモーター、パワーコントロールユニットをはじめ、システム制御など、計2万3740件の特許実施権を一気に開放する。電池はパナソニックと協業しており、今回の特許開放に含まれていない。

1997年末に世界初の量産HV「プリウス」を発売したトヨタはかつて「仕入れ先も含めて、敵に塩を送ることはせず環境技術を囲い込んでいた」(同社幹部)。だがトヨタ方式のHVや14年末に投入した世界初の量産FCVは技術的なハードルが高く、追随メーカーは少なかった。

独フォルクスワーゲン(VW)や中国メーカーはEVシフトを強める。EVは大容量の電池のコスト、資源の確保、短い航続距離など課題が多いが、中国などは自国産業を強化するためにEVの優遇策を進めてきた。一方で欧米中、日本と世界的な燃費規制の強化もあり「他社からのHVやFCVの問い合わせは増えている」(寺師副社長)という。

英調査会社のIHSマークイットは18年の簡易HVを含む電動車市場は約570万台で、30年には6000万台規模に膨らむと予測する。技術を囲い込むより、電動化システムの販売で事業を拡大し「多くのメーカーと協調し、環境問題に対応する」(寺師副社長)という方針に切り替えた。

今回は15年に発表したFCVの特許開放で、普及が進まなかった教訓もある。FCV特許への引き合いはあったが、技術の実用化や巨額投資、充填インフラにハードルがあり、開発企業は広がらなかった。そのため開放期限を長くし、商品化の技術支援、部品やシステムの供給にも乗り出す。

トヨタは仕入れ先にも、他社への部品や技術の供与を薦める。オープン化によって電動化技術の競争は激しくなるが「外部から選ばれる真の競争力を磨かないと生き残れない」(トヨタ首脳)といい、自社の技術陣への刺激という狙いもありそうだ。(工藤正晃)

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