2019年6月20日(木)

トヨタ、HVシステムを外販 特許無償で陣営拡大狙う

自動車・機械
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2019/4/3 18:47
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トヨタ自動車は3日、ハイブリッド車(HV)中心に電動車技術の特許を使える権利を無償提供すると正式に発表した。モーターなど2万3740件が対象。車メーカー向けのHVシステムの外販も本格展開する。特許無償を呼び水として他社に参入を促し、トヨタの技術を使う陣営を広げたい構えだ。

開放する特許はHVや電気自動車(EV)など向けのモーターや「パワーコントロールユニット(PCU)」と呼ぶ装置や充電機器などで期限は2030年末まで。15年から無償としている燃料電池車(FCV)の高圧水素タンクなどの特許は期限を同様に延長した。電動車用の電池は含まない。

無償開放に合わせてシステムの外販を強化していくほか、トヨタが持つHVなどのシステムを外販する際に、調整作業などへの助言によって製品化を手助けする支援サービスを有償で始めることも発表した。

同日、名古屋市で記者会見した寺師茂樹副社長は「競合各社とも従来のガソリン車などで二酸化炭素(CO2)排出量の削減をがんばってきたがそろそろ限界だ」と指摘。「燃費規制をクリアするにはHVが現実解だと認知されてきた。技術を広げるタイミングがきた」と話した。

トヨタは特許無償化で参入を促し、システム外販などを通じて自社技術を使う陣営を拡大する。従来は技術を囲い込んできたが、オープン戦略に転換する。「(オープン戦略は)世界で戦っていくうえで大きな武器になる」とトヨタ幹部は話す。

すでにHV技術を供与する提携先は特許料の負担がなくなるメリットがある。スズキは3月、トヨタから世界市場でHVシステムの供給を受けることで合意した。SUBARU(スバル)は、トヨタと12年にスポーツ車の共同開発で提携し、HVでも協力関係を深めている。

マツダは現行の中型車「アクセラ」のHVモデルでトヨタからシステム供給を受けている。ただ、今後は自社開発で簡易型HVを投入する予定でHV供給は受けないことで合意しているもようだ。マツダはトヨタの特許開放について「大きな影響はない」(関係者)とみている。ただマツダもEVの拡大シナリオとは距離を置く姿勢で、トヨタがけん引してHV市場自体が活性化することは追い風になる。

トヨタの寺師副社長は「具体的にどことは言えないが、技術への問い合わせは増えている」と需要が見込めることを示唆した。主要地域で主流の「CAFE」と呼ぶ燃費規制の強化で対応を迫られる中国や新興国メーカーの関心は高そうだ。

中国大手の一部はトヨタのHV関連技術に興味を持つ。中国政府が普及を急ぐ新エネルギー車はEVが中心でHVは対象に含まれないが、燃費規制を20年には先進国並みの水準まで引き上げるため、HV導入で燃費規制をクリアしようとする思惑もあるためだ。

トヨタと中国民営大手の浙江吉利控股集団が、18年にHVの技術導入で交渉したことが明らかになった。トヨタと合弁を組む中国国有大手、広州汽車集団の曽慶洪董事長はかねてHVも重視する姿勢を示しており、吉利や広州汽車の独自ブランド部門が導入するとの見方もある。

「トヨタのHV技術は優れているが、系列メーカーなどが提供するシステムは複雑で高価になるのではないか」。中国の民営自動車大手幹部はこう推測し「燃費性能の向上とコスト上昇とのバランスが重要になる」と指摘する。

マレーシアのマハティール首相は自身が掲げる国産車構想に関し、トヨタなどの日本メーカーに協力を求めていることを18年8月の来日時に明らかにしていた。マレーシアはプロトン、プロドゥアという国産車メーカー2社を抱えるが、技術力は低く、燃費性能の良い独自の車の開発は大きな課題だ。

インドでもトヨタの技術への関心は高そうだ。同国の大気汚染は世界最悪レベルで、印政府は排ガス抑制に取り組んでいる。30年までに「すべての自動車を電動化する」という野心的な目標は降ろしたが、EV普及に力を入れている。

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