日立など「スマート手術室」20年発売 AIによる助言も

2019/4/3 18:18
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日立製作所デンソー、東京女子医科大学などが共同で、様々な医療機器を連携させて手術の安全性や効率を高めた「スマート手術室」を実用化する。手術の進行や患者の状態を丸ごとデータ化し、執刀医の判断を支援する。人工知能(AI)による助言も組み込む。日本企業が強みを持つ工場の自動化ノウハウを医療現場に応用。パッケージでの輸出を目指す。

東京女子医大で3日、同大学病院に導入した「スマート治療室」と名付けた手術室を公開した。医療機器やシステムを手掛ける日立やデンソーなど11社と、東京女子医大など5大学が共同で開発。2月に脳神経外科の臨床研究を始めた。

手術室内の機器をほぼ全て連携させた標準モデルを2020年に発売し、ロボットやAIを取り入れた高機能モデルを21年に発売する考え。価格は3億~5億円と、単体の画像診断装置と同水準になる見通し。「東南アジアで引き合いが強く、米国や中東、欧州でも普及させたい」(日立)

特徴は手術室内の複数の機器のデータを一元化して表示できる点だ。例えば脳の磁気共鳴画像装置(MRI)画像と、腫瘍の悪性度を手術中に検査した結果を画面に重ねて表示できる。電気メスなど治療器具の動きも統合可能だ。通常はそれぞれの機器のモニターを見て、医師が頭の中で情報を整理している。スマート手術室では治療方針の決定がスムーズになり、経験の浅い医師でもより安全に手術ができる。

手術室内の画面に表示する情報は手術室外とも共有できる。ベテラン医師が遠隔で指示を与えて手術の安全性をより高める。何らかの異常が起きたときは、直前のデータを再生して原因をすぐに見つけるような使い方もできる。

スマート手術室は日本が得意とする工場の生産ライン自動化のノウハウを活用し、約5年をかけて開発した。

医療機器を連携させる上で肝となるソフトウエアは、デンソーが中心となって開発。同社は数百種類の機器を導入し、1万項目以上を監視するような生産ラインを持つ。そこでこの生産ライン上の機器をつないで様々な目的で利用できるソフトウエアを開発した。接続する機器側の仕様を変えなくて済むのが特徴で、スマート手術室ではこれを医療機器に生かした。

ロボット技術も生かす。川崎重工業シスメックスが共同出資するメディカロイド(神戸市)などが開発したロボットベッドを導入した。患者を乗せたベッドが患者をMRIに自動搬送したり、元の手術位置にミリ単位で正確に戻ったりする。医師は患部の位置ずれを気にせずに治療できる。

海外では米ゼネラル・エレクトリック(GE)やシーメンスが画像診断機器をあらゆるモノがネットでつながる「IoT」でつなぎ、稼働状況を最適化するシステムなどを開発中だ。ただし、手術室全体をIoT化して実際の治療に使う例はなかった。

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