遠隔での胎児モニター、在宅や緊急搬送で効果認める
あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を用いた胎児モニター「分娩監視装置iCTG」を販売するメロディ・インターナショナル(高松市)は、複数の病院で進めている実証実験の結果を2019年3月28日に発表した。各病院では在宅や緊急搬送中などに分娩監視装置iCTGを利用し、遠隔での胎児・妊婦モニタリングを実施した。

日本では出産を取り扱う医療機関の減少が続いており、後継者不足などから歯止めがかかる兆しはみられないという。さらに高齢出産(初めての出産が35歳以上)の割合が28%を超えており、より手厚いケアが求められている。こうした課題を解決すべく、メロディ・インターナショナルは分娩監視装置iCTGを開発した。
分娩監視装置iCTGは胎児心拍を計測する小型の超音波ドップラーセンサーとiPadまたはiPhoneを組み合わせたIoT医療機器。18年5月に薬事認証を取得し、19年1月に本格的に販売を開始した。周産期遠隔医療プラットフォーム「Melody i」と組み合わせることで、胎児の心拍数推移と母体の腹の張りを計測した結果を、クラウドを経由して医師のスマートフォンやタブレット端末、パソコンなどに送信できる。
実証実験の結果を説明したのは、亀田総合病院(千葉県鴨川市)と岩手県立大船渡病院(岩手県大船渡市)、名瀬徳洲会病院(鹿児島県奄美市)である。各病院の実態に合わせて、(1)在宅や(2)救急搬送などで利用した。
(1)の在宅の例では、毎日のモニターが求められる入院が必要な妊婦でも、在宅での経過観察と通院の組み合わせで対応できた。亀田総合病院の産婦人科医長の末光徳匡氏は「自宅に居ながら確認が可能で、入院と同等レベルの医療を受けられる」と話した。
(2)の緊急搬送では、他の医療機関などからの救急搬送時に使用した。緊急車両や救急ヘリの中で胎児と妊婦の状態をリアルタイムにモニターすることで、受け入れ後の措置がスムーズになる効果などが得られたとする。
分娩監視装置iCTGは胎児の心音を聞くことができるため、父親や母親が産まれてくる子供をいとおしいと思うといった愛着の形成にも役立つとする。メロディ・インターナショナルでは海外展開も視野に入れており、タイやミャンマー、南アフリカで実証実験に取り組んでいる。
(日経 xTECH/日経デジタルヘルス 河合基伸)
[日経 xTECH 2019年4月2日掲載]