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豊島逸夫の金のつぶやき

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米0.5%利下げ論、窮余の一策か

2019/4/3 9:02
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「米連邦準備理事会(FRB)は0.5%幅で利下げすべし」――。今や、市場で「問題児」扱いされるスティーブン・ムーア新FRB理事候補の発言だ。同氏はトランプ氏が指名してFRBに送り込む「子飼い」経済顧問と言われる。クドロー国家経済会議委員長も追認コメントしたことで、にわかにウォール街の話題となっている。

市場は米中通商協議とブレクジットという2大不安要因を抱え、インフレ率は伸び悩んでいる。そのような経済環境のなかで、FRBが2018年9月、12月と2回0.25%刻みで利上げしたことは間違いであった。それゆえ、0.5%%幅で利下げして当然だ、との論旨だ。米国経済が減速から景気後退に陥るリスクを回避する「予防的措置」とされる。

20年の大統領選挙接近の切迫感が強まるなか、トランプ大統領の焦りがFRBへの圧力を強めている可能性も指摘される。これまでトランプ氏は、米国株価上昇を自身の功績と自画自賛してきたが、今年に入って、上海株価上昇率のほうがはるかに勝る状況だ。米中通商交渉のテーブルで、中国側が強気に出るリスクもはらむ。ここはNY株式市場で起死回生のカンフル剤が欲しいところだろう。

マーケットでは既にFRBの次の一手は利下げと見込む予測が増えているものの、0.5%幅での利下げとなると、金融政策大転換のサプライズとなろう。

とはいえ、株式市場が緩和への急激なかじ取りを素直に歓迎するかは定かではない。トランプ政権は0.5%利下げが必要なほど米国経済に危機感を強めているのか、FRBは民間が知らない何かを知っているのか、疑心暗鬼が募るのだ。進展が伝えられる米中通商協議も、実は暗礁に乗り上げているのではないか。

総じて米中ともに通商問題をこじらせたくはない。早晩妥協して折り合うとの楽観論が市場では好まれてきたが、知的財産権、技術強制移転などの構造改革進展をいかに検証するのか。中国側には検証を口実に台所にまで立ち入られる不快感が根強い。検証の評価が悪ければ米国側の一方的な25%への関税引き上げを中国側は報復せず甘受せよ、との姿勢に対する不満感もくすぶる。そのため0.5%緊急利下げは米中協議決裂に備えた窮余の一策を示唆している、との深読みもささやかれる。

FRBへの評価も市場内では割れる。「経済データ次第」で金融政策の方向性を決定するというが、「株価次第」ではないか、との疑念は拭えない。18年末の株価大変動がFRBのハト派姿勢を強めた、との見方は根強い。確かに自ら引き起こした市場混乱に懲りた如く、パウエル議長は忍耐強く金融政策を決定する慎重な姿勢を強調し続けている。

今後、仮にNY株大変動の再来ともなれば、0.5%緊急利下げも絵空事とは言えなくなろう。政治的独立は断固守る姿勢のFRBだが、株価重視という視点はホワイトハウスと共有するように見える。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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