世界貿易、18年3%増に減速 米中摩擦で

2019/4/2 19:28
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【ジュネーブ=細川倫太郎】世界貿易の停滞感が強まっている。世界貿易機関(WTO)が2日発表した2018年のモノの貿易量の伸び率は前年比3.0%と、17年の4.6%から減速した。米中貿易戦争などの影響で、アジアや欧州の輸出入が鈍った。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混迷などリスク要因が多く、19年の予測は2.6%とさらにブレーキがかかる見通しだ。

18年の実質経済成長率は2.9%で、国境をまたぐモノの貿易量の伸びが経済成長率を下回る「スロートレード」はわずかながら回避した。

記者会見するアゼベド事務局長(2日、ジュネーブのWTO本部)

記者会見するアゼベド事務局長(2日、ジュネーブのWTO本部)

同日、記者会見したWTOのアゼベド事務局長は「貿易の緊張を和らげる緊急性が増している」と指摘。世界の成長や雇用が脅かされているとして「ルールに基づく貿易の重要性を忘れれば、歴史的な過ちになる」と警鐘を鳴らした。

WTOは当初、18年の伸び率を3.9%と予測していた。しかし、米中貿易戦争の影響が表面化し「10~12月期の第4四半期に急速に貿易量が落ち込んだ」と説明した。投資や雇用、個人消費に打撃が広がった格好だ。

地域別の輸出の伸び率では、アジアが前年の6.8%から3.8%に、欧州が3.7%から1.6%に落ち込んだ。輸入もアジアは8.3%から5.0%と大きく減少した。

世界全体のモノの貿易額は輸出が19兆4750億ドル(約2170兆円)、輸入が19兆8670億ドルとそれぞれ10%増加した。貿易量の伸びは鈍化したが、原油価格の上昇で金額ベースでは大幅に増えた。個別の国の貿易総額では2年連続で中国が首位で、2位は米国、3位にドイツが続いた。

19年の見通しは厳しい。WTOは米中貿易戦争のさらなる悪影響を懸念。「米国が年後半に自動車関税を引き上げたら、世界貿易は一段と悪化する」(チーフエコノミストのロバート・クープマン氏)とみる。米中は摩擦解消に向け協議を続けているが、決着のメドは立っていない。

英国がEUから何の取り決めもなく離脱する「合意なき離脱」のリスクもくすぶるほか、中国景気の減速も逆風だ。足元では世界の航空貨物や自動車生産が停滞しており、WTOが2月に発表した19年1~3月期の世界貿易予測指数は約9年ぶりの低水準になった。

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