北陸景気、減速感強まる 日銀3月短観、景況感大幅悪化

2019/4/1 19:34
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北陸景気の減速感が強まっている。日銀金沢支店が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は全産業の業況判断指数(DI)はプラス10と、前回の2018年12月短観に比べ8ポイント低下した。米中貿易摩擦に端を発した世界経済の変調を背景に、電子部品や機械など主力業種で受注・生産の鈍化が鮮明になった。企業業績や設備投資にも下押し圧力が強まる。

「市況が明らかに弱くなっている」。電子部品製造の石川サンケン(石川県志賀町)は能登地域に複数の工場を構えるが、中国の景気減速が生産に影響し始めた。同社は中国製の白物家電などに使う半導体を製造しており、現地で家電の在庫調整が長引き需要が鈍化。昨年までフル操業を続けていた工場も稼働率が低下しているという。

受注の本格回復が見通せない中、新年度の投資計画も見直した。工場の空調設備の更新など急を要しない案件を先送りし、4~9月期の設備投資を従来より5億円ほど圧縮するという。

電源装置製造のコーセルは2月に19年5月期の連結業績を当初の最終増益予想から一転して減益予想に修正した。工作機械や半導体製造装置メーカーの投資先送りが広がり、アジアを中心に電源の受注が急減。谷川正人社長は「2月以降もエレクトロニクス業界は減速傾向が続いている」と指摘する。

工作機械メーカーの中村留精密工業(石川県白山市)は「全体の受注状況は足元で前年比3割ほど減っている」。同社は工作機械の7割を海外で売る。中国向けに加え、ここにきて主力の欧米向けも鈍化してきた。中国の自動車市場でシェアの高い欧米車の販売が減速。このあおりで欧米自動車部品メーカーからの機械受注が鈍っているとみられる。

建設機械向けボルト製造の共和工業所も中国の建機市場の先細り懸念を踏まえ、19年4月期の連結業績予想を2月に下方修正した。

もっとも悲観ムード一色ではない。電子機器などに使うセラミックコンデンサーを福井県などで製造する村田製作所は「例年1~3月は需要が落ち着く傾向にある。自動車向けは堅調で、4月以降は回復に転じる」とみる。

建機の油圧パイプをつなぐ「継ぎ手」を製造する日本エー・エム・シー(福井市)は、新興国の都市開発を追い風にミニ建機向けが好調を維持。山口康生社長は中国の動向について「景気対策の公共工事が期待できる」と話す。

■製造業が大幅悪化 先行きはマイナス 

3月の北陸短観では製造業の業況判断指数(DI)がプラス10と、前回に比べて14ポイントの大幅悪化となった。スマートフォン(スマホ)の販売不振を背景に電子部品関連の景況感が大幅に後退。金属製品も中国向けの自動車部品の落ち込みが響いた。製造業の先行きはさらに悪化しマイナス2を見込んでおり、マイナスとなれば6年ぶりとなる。

非製造業の現状DIは3ポイント悪化のプラス10。暖冬傾向で季節商品の売れ行きが鈍かった小売り、暖房需要が伸び悩んだ電気・ガスなどの景況感が悪化した。先行きはプラス5への悪化を見込む。全産業の先行きはプラス2に落ち込む。

売り上げ・収益計画は全産業ベースで2018年度が増収増益、19年度は増収減益を見込む。設備投資は18年度の増加計画から一転、19年度は2桁減となる。大型案件の一巡に加え、海外経済の不透明感から投資を抑える動きもあるという。

日銀金沢支店の宮田慶一支店長は1日の記者会見で「製造業を中心に中国減速の影響がみられる」とする一方「所得から支出への前向きな循環は維持されている。企業マインドが萎縮している状況ではない」との認識を示した。

■消費増税へ半年、住宅に駆け込み

国内では消費税率10%への引き上げを半年後に控え、住宅や自動車といった高額消費の動向が焦点になる。

北陸ミサワホーム(金沢市)の林諭高社長は「住宅や法人向け事務所で駆け込み需要が広がり、3月の契約件数は前年より2~3割増えた」と話す。住宅は3月中に契約を済ませれば、引き渡しが増税予定の10月1日を過ぎても現行税率が適用されるためだ。

一方、建売住宅の場合は契約から引き渡しに時間がかからない。林社長は「9月まで駆け込み需要が続く可能性がある」とみている。三協立山はリフォーム関連の需要がおおむね横ばいで推移するが、今後は「一定の駆け込みが出る可能性がある」としている。

自動車は住宅ほど駆け込みが目立っていない。北陸マツダの営業担当者は「新車の売れ行きは平年を数%上回る程度。前回の増税時のようなインパクトはない」と話す。10月には自動車取得税が廃止されるほか、消費喚起に向けて新モデルの投入計画もある。増税後の反動も限定的との見方が多い。

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