2019年6月27日(木)

30代のIT起業家に積極投資 コーラル・キャピタル

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
スタートアップ
2019/4/2 6:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

ベンチャーキャピタル(VC)のコーラル・キャピタル(東京・千代田)は2月、日本のスタートアップ企業に投資する総額50億円のファンドを組成した。米有力VCの500スタートアップスで日本向けのファンドを担当していたチームが独立、日本の市場に合わせた独自の投資戦略を描く。共同代表のジェームズ・ライニー氏、沢山陽平氏に独立の背景などを聞いた。

コーラル・キャピタルのジェームズ・ライニー氏(右)と沢山陽平氏

コーラル・キャピタルのジェームズ・ライニー氏(右)と沢山陽平氏

――米VCの日本向けファンドの運用を3年間担ってきました。なぜ独立することにしたのですか。

ライニー氏「日本のスタートアップを巡る環境変化が大きい。3年前に日本で投資を始めた時は『シード』と呼ばれる創業期の企業は1000万円前後の資金調達が主流だった。今では3000万~5000万円が当たり前だ。保険や貸金業など難しい事業領域に挑戦する起業家が増えており、許認可の取得などで多額の資金が必要なためだ」

「500スタートアップスは社名の通り、多数の企業に少額の資金を提供する『アクセラレーター』として知られる。日本で38億円の1号ファンドを立ち上げた当初は、この少額多数の戦略に基づき200社ほどに投資する計画だった。しかし日本でもVCが増え、お金は『コモディティー化』している。もっと投資社数を絞って、1社1社をしっかり支援したほうがよいと考えた」

――500の中で新たな戦略を実行することは考えなかったのですか。

「投資戦略とブランドは一緒になっている。日本では1号ファンドの途中から投資戦略を見直しており、グローバルな戦略とズレが生まれていた。米500の経営陣とも協議し、新たなブランドでのVC設立を認めてもらった」

――新ファンドでは目標の50億円が集まりました。 「500の1号ファンドの出資者であるみずほ銀行や三菱地所に加えて、新規で新生銀行Jパワーも加わった。社名は公開できないが、著名な海外機関投資家の出資も受けている。1社あたりの投資額は5000万~2億円と、前回ファンドよりも追加投資の枠を1億円積み増した」

投資先スタートアップの人材採用も支援する(19年1月に開いたキャリアイベント)

投資先スタートアップの人材採用も支援する(19年1月に開いたキャリアイベント)

――どんなスタートアップに投資しますか。

「分野は絞っていないが、IT(情報技術)を活用して伝統的な産業を変革したい30代の起業家を中心に投資したい。アプリをつくって数十億円の売却を目指すのではなく、物流や保険、医療などの業界経験が豊かな人のスタートアップ参入を後押ししたい」

――500の1号ファンドも継続して運用します。現在までの成果は。

沢山氏「1号ファンドでは43社に20億円強を投じ、新規投資の枠はほぼ使い切った。3社はM&A(合併・買収)で売却済みだ。大半の投資先は当社が投資した後に次の資金調達に成功しており、累計調達額は約150億円に上る」

「資金調達を支援するため、国内500社以上のVCのデータベースを作成しており、誰がどんな分野に興味を持っているかを把握している。これを基に投資先と相性の良いVCを紹介する取り組みがうまくいっている」

「投資先企業の人材採用や広報といった業務も支援している。知名度が低いスタートアップはなかなか候補者が来てくれないため、18年はキャリアイベントを2回開いた。1回あたり200人強が集まり、十数人の採用につながった」

(企業報道部 鈴木健二朗)

[日経産業新聞2019年3月19日付]

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