マレーシア政府、早期収拾を優先 金正男氏殺害事件の実行犯、来月に釈放へ

2019/4/1 17:58
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【シンガポール=中野貴司】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害された事件で、マレーシアの高裁は1日、ベトナム国籍のドアン・ティ・フォン被告に傷害罪で3年4カ月の禁錮刑を言い渡した。罪を認めたフォン被告は刑期の減免を受け、5月初旬にも釈放される見通しだ。

フォン被告は判決後、笑顔を見せた(1日、クアラルンプール近郊)=AP

殺人罪で起訴されていたフォン被告の訴因が1日に突然傷害罪に変更され、即日で判決が出た背景には、早期収拾を優先するマレーシア政府・検察当局の判断がある。

1日の判決後、フォン被告の弁護士はベトナム政府の要請が早期釈放の実現につながったとの認識を示した。3年4カ月の禁錮刑は2017年2月のフォン被告の逮捕時から計算される。刑期の3分の1の減免も受ける。

金正男氏の顔に猛毒のVXを擦りつけたとされるフォン被告の訴因を、殺人罪から傷害罪に変更した理由を検察側は公式には説明していない。ただ、3月以降の経緯からはインドネシアやベトナムとの外交関係を勘案しながら、早期の幕引きを模索したマレーシア政府の姿勢が見え隠れする。

マレーシアはまず3月11日に、インドネシア籍のシティ・アイシャ氏への起訴取り下げを決め、即日釈放した。フォン被告については一度は起訴の取り下げを拒んだものの、2人への対応が異なることにベトナム政府が強く抗議。起訴の取り下げには応じない一方、軽い傷害罪への訴因の変更で決着を図ることになった。

17年2月に金正男氏がクアラルンプール国際空港で殺害されたこの事件は、殺害計画を立案したとみられる北朝鮮籍の4容疑者も指名手配された。しかし、4容疑者は犯行直後にマレーシア国外に逃亡し、当局による捜査は当初から大きな壁にぶつかっていた。

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