中国4大銀、当局号令で融資拡大 将来のリスクに
18年末時点、9%増

2019/3/29 21:00
保存
共有
印刷
その他

【香港=木原雄士】中国の大手銀行が貸し出しを増やしている。中国工商銀行など4大国有銀の2018年末の貸出残高は52兆5千億元(約860兆円)と17年末に比べ9%増えた。中国当局が中小企業への積極融資を促しているためだ。景気刺激を優先した貸し出しは将来的に不良債権を増やすリスクがある。

4大銀の18年12月期の純利益は前の期より4~5%増えた。貸出金増加に伴う金利や手数料の収入が拡大。18年末の不良債権比率は4行平均1.5%と17年末比0.08ポイント改善した。不良債権の予備軍とされる関注(要注意)債権の比率も3%台から2.84%になった。

ただ、中国の不良債権問題は見た目より深刻だと見る向きもある。大手銀は資産管理会社に移管する形で不良債権を処理しているが、こうした手法は右肩上がりの経済を前提にしているためだ。

中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は3月、大手銀に中小・零細企業向け融資を30%以上増やすよう指示した。工商銀が1千億元増やす目標を掲げるなど各行は融資を積み増す方針。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの細尾忠生氏は「政治主導による融資拡大は景気を下支えする効果が大きい半面、いずれ不良債権化するリスクが高い」と指摘する。

中国経済が減速した影響も出始めている。工商銀の純利益は18年10~12月期に限ると前年同期比わずかにマイナス。利益の伸びが止まるのは約2年ぶりだ。中国農業銀行も19年は利ざやが縮むとの見通しを示した。

4大銀行の総資産は約95兆元と10年前の3倍に膨らみ、世界の金融システムに与える影響が大きくなっている。過剰債務の圧縮(デレバレッジ)より景気対策を優先する当局の姿勢は問題の先送りにつながりかねない。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]