中国大手銀、当局号令で貸し出し拡大 将来のリスクに

2019/3/29 18:28
保存
共有
印刷
その他

【香港=木原雄士】中国国有の大手銀行が貸し出しを増やしている。中国工商銀行と中国建設銀行の2018年末の貸出残高は28兆7千億元(約470兆円)と17年末に比べ7%増えた。中国当局が中小企業への積極融資を促しているためだ。景気刺激を優先した貸し出しは将来的に不良債権を増やすリスクがある。

決算会見に臨む中国工商銀行の幹部(28日、香港)

工商銀と建設銀の18年12月期の純利益は前の期に比べて4~5%増えた。貸出金の増加に伴う金利や手数料の収入が伸びた。もっとも18年10~12月期に限ると、工商銀はわずかにマイナス。米中貿易戦争を受けて中国経済の伸びが鈍化した影響が表れつつある。

18年末の不良債権比率は2行平均で1.49%と17年末比0.03ポイント改善した。不良債権の予備軍とされる関注(要注意)債権の比率は2.87%だった。工商銀の谷●(さんずいに樹のつくり)行長は「比率は低下し続けており、リスクをうまく管理できている」と話す。

ただ、中国の不良債権問題は見た目より深刻だと見る向きもある。大手銀は資産管理会社に移管する形で不良債権を処理しているが、こうした手法は右肩上がりの経済を前提にしているためだ。

中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は3月の全国人民代表大会で大手銀に中小・零細企業向け融資を30%以上増やすよう指示した。工商銀が1千億元増やす目標を掲げるなど各行とも融資を積み増す。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの細尾忠生氏は「政治主導による融資拡大は景気を下支えする効果が大きい半面、いずれ不良債権化するリスクが高い」と指摘する。

四大銀行の総資産はこの10年で3倍に膨らみ、世界の金融システムに与える影響が大きくなっている。過剰債務の圧縮(デレバレッジ)より景気対策を優先する当局の姿勢は問題の先送りにつながりかねない。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]