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星奈津美さん「日本選手権、男女バタフライに注目」

(更新)

競泳の日本選手権が4月2日、東京辰巳国際水泳場で開幕する。夏の世界選手権(7月、韓国)の代表選考を兼ね、2020年東京五輪にもつながる重要な大会。12年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪連続銅メダルの星奈津美さんに、今大会の見どころを語ってもらった。

萩野公介(ブリヂストン)、池江璃花子(ルネサンス)と男女のエースが不在だが、そんなマイナス面よりはプラス面のほうが多いのではないかと感じている。毎年、この大会は無名の選手が上位に入ったり、若手が急成長して現れたり、と明るい話題が多い。特に女子はリレー種目を泳ぐ選手たちが「一人一人がより高い意識を持ちたい」と口をそろえていた。強い意識を持って、全体的にレベルアップした泳ぎを見せてくれると期待している。

好調瀬戸が優位、追う幌村と坂井

今大会、最もハイレベルなレースがみられそうなのが男子200メートルバタフライだ。昨年王者の幌村尚(早大)、2位の瀬戸大也(ANA)、リオ五輪銀の坂井聖人(セイコー)ら派遣標準記録(1分55秒55)を切る自己ベストを持つ選手がひしめく中、2枠を争う厳しい戦いとなる。

その中で、世界新を出した昨年12月の世界短水路選手権など最近の結果からみて、瀬戸が頭ひとつ抜けている。もともと前半から攻めるレースプランが持ち味だが、以前は後半に強い坂井らにマークされ最後に抜かれる場面が多かった。だが、昨年のアジア大会ごろからは前半から積極的にいきながら余裕を残して泳げており、終盤もスピードが落ちなくなった。持ち前のドルフィンキックのうまさをバタフライのキックにも生かして最後まで打ち続けられるようになったのが好調の要因だろう。

瀬戸は昨年12月、中国で行われた世界短水路選手権の200メートルバタフライで世界新記録をマークした=共同

一方で、1分54秒03の瀬戸を超える自己ベスト記録を持つ幌村(1分53秒79)、坂井(1分53秒40)は、ともに昨季から抱えている肩の故障が気がかりだ。始めから飛ばしていくであろう瀬戸に対して、この2人と、さらに昨年パンパシフィック選手権で初代表となった矢島優也(全日空商事)がどのようなレースプランで挑むのか、注目したい。

男子では100メートル自由形も見逃せない。この種目を引っぱる中村克(イトマン東進)は今季も高いレベルの記録を出し、好調を維持している。苦戦続きの男子自由形の中で、五輪前年の厳しい派遣標準記録(48秒11)を突破できる可能性が最も高い選手だ。

47秒87の日本記録を持つ中村にとって、本来の力を出せば代表入りは難しくない。ただ、彼の課題は日本選手権など大きな舞台でタイムを出せるかどうかだ。昨年出した日本記録は2月のコナミオープンだった。私も主要大会で自己ベストをなかなか更新できずに苦労したが、誰もが照準を合わせてくる大舞台で記録を塗り替えてこそトップ選手の証といえる。まずは今大会で派遣標準をクリアして、リレーでなく個人での代表入りを堂々と決めてもらいたい。

女子は大橋悠依(イトマン東進)が中心となりそう。主戦場である個人メドレーは200メートル、400メートルとも実力が抜けており、代表入りは問題ない。個人的には今年新たにエントリーした200メートルバタフライに注目している。

個人メドレーでは別格の大橋がバタフライでどんな泳ぎを見せるか=共同

彼女の特徴は4泳法全てに通ずるゆったりとしたフォーム。バタフライでも余力を残しつつ前半から速いペースで進んでいく様子を見ていると、長年バタフライ一本で戦ってきた身として、驚きを超えてうらやましくすら思ってしまう。自己ベストの2分7秒03はまだシーズン序盤の昨年11月、東京スイミングセンター招待公認記録会で出しているだけに、今大会での記録更新は十分期待できる。日程的にも決勝は5日目と、2つの個人メドレーの間に組まれているので、負担は少ないはずだ。

大橋とは対照的に、筋肉質でがっちりとしたフォームが特徴的なのが長谷川涼香(東京ドーム)だ。今季はキックを重点的に強化してきたといい、泳ぎの力強さが増して冬場から好調を維持している。大橋のバタフライ参戦には長谷川も戦々恐々としているようだが、2人の直接対決は初めて。派遣標準記録(2分7秒49)を切る自己ベストを持つ両者が、一緒に泳いだときにどのようなレースになるのか、目が離せない。

女子平泳ぎ、実力者がずらり

平泳ぎの鈴木聡美(ミキハウス)は私と同い年の28歳。昨夏のパンパシフィック選手権では200メートルで3位に入るなど、年齢を重ねながらもここにきてまた調子を上げてきている。もともとパワーにたけた選手だが、100メートルにしぼらず200メートルに挑戦し続けることで大きな泳ぎを維持できているそうだ。

この種目には青木玲緒樹(ミズノ)、渡部香生子(JSS立石)ら100、200ともに派遣標準記録を突破できる実力派がそろう。2月のコナミオープンで200メートルを制した浅羽栞(VALUE SS)ら新鋭も出てきた。18歳の浅羽は、普段の試合と違って予選、準決勝、決勝と3レースある今大会で自分の力をコントロールしながら泳げるかが鍵。うまくはまって決勝で力を出し切れれば、上位に食い込むかもしれない。

五輪前年の日本選手権は選考がいっそう厳しさを増す。選手にとってはシビアだが、来春の五輪代表選考会に向けて同じような意識で臨める良い予行練習の機会でもある。緊張感を持ち、来年を見据えた戦略をたてながら臨んでもらいたい。

ほし・なつみ 1990年埼玉県越谷市生まれ。五輪は08年北京大会から3大会連続で出場。12年ロンドン大会では200メートルバタフライで銅メダル、16年リオデジャネイロ大会でも同じ種目で銅メダルを獲得した。同年10月に引退後、現在は解説者などとして活動している。

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