2019年5月24日(金)

トヨタAI子会社、電池の寿命予測手法 米大学と開発

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BP速報
2019/3/29 13:08
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トヨタ自動車の人工知能(AI)開発子会社、米トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)と米スタンフォード大学との共同研究で、初期のわずかな充放電サイクルデータを基に、リチウム(Li)イオン2次電池の寿命を正確に予測する方法を見つけたと2019年3月25日発表した。

(写真:トヨタ・リサーチ・インスティテュート)

(写真:トヨタ・リサーチ・インスティテュート)

研究では、電池の初期の充放電サイクルにおける電圧低下と他のいくつかのデータの変化を元に、機械学習によって長期的な寿命を予測するアルゴリズムを開発した。その結果、予測値は実際のサイクル寿命の9%以内の誤差に収まった。また、最初の5回の充放電サイクルデータに基づいて、その電池を長寿命か短寿命かに分類する実験では、95%の正解率で予測できた。

通常、新しく設計した電池の寿命を知るためには、実際に電池が使えなくなるまで充放電を繰り返す実験が必要となる。これには膨大な時間とコストがかかり、電池開発を遅らせる原因となってきた。今回開発した機械学習アルゴリズムを使うと、初期のわずかな充放電サイクルデータを計測するだけで残りの寿命を予測できるため、電池設計の開発時間を大幅に短縮し、開発コストを下げることができる。

■様々な場面で利用可能

このプロジェクトの目的の一つは、10分で電池を充電する方法、すなわち急速充電の最適条件を見つけることだという。機械学習に必要なデータセットを得るため、研究チームはさまざまな電池について、容量が20%減るまで充放電を繰り返した。容量20%減は、電気自動車(EV)用電池の耐用年数を決める基準である。

Liイオン電池は、充放電を繰り返してもしばらくは安定しているが、ある時点で急激に容量が落ちる。容量が落ちる時点は各電池によって異なり、急速充電を最適化する実験では150~2300サイクルの幅があった。この容量劣化時点の大きな違いは、各電池の分子界面の違いによるものと見られる。

新しい材料を使った電池の開発だけでなく、今回の技術は製造プロセスにおいても利用できる。出荷検査で、EV用の厳しい要求に耐え得る長寿命の電池を短時間で選別できる。EV用電池のリサイクルにおいても、二次使用が可能なサイクル寿命が残っているセルと残っていないセルを選別できる。

この研究は、理論、実験、データ科学を統合する産学協同研究施設のデータ駆動型電池設計センターで行われた。スタンフォード大学が電池実験を実施し、MITチームが機械学習を担当した。今回の研究成果は、英科学誌「Nature Energy」に掲載されている。

(ライター 櫛谷さえ子)

[日経 xTECH 2019年3月28日掲載]

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