2019年9月20日(金)

第一三共、抗がん剤で英社と提携 最大7600億円受領

2019/3/29 9:35
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第一三共は29日、開発中の抗がん剤を巡り英製薬大手アストラゼネカと提携すると発表した。臨床試験(治験)や販売を共同で手がけ、第一三共は対価として最大で69億ドル(約7600億円)を受け取る。第一三共はがん領域を次の成長の柱と位置づけ、開発を強化している。がん領域に強く世界に販売網を持つアストラゼネカとの提携で新薬の価値を高める。

対象となる抗がん剤は「トラスツズマブ・デルクステカン(開発名DS-8201)」。米国で承認申請の準備を進めており、2019年度前半にまず乳がんを対象に申請することを目指す。肺がんや胃がんなどの治験も実施中だ。

アストラゼネカとの提携ではまず契約一時金として1年以内に13億5000万ドルを受け取り、対象疾患の拡大や販売の進捗に応じて追加の報奨金を受ける。日本を除く地域での販売収入は両社で折半する。第一三共は受け取った資金を今後のがん治療薬の開発に使う。

第一三共と英製薬大手アストラゼネカ

第一三共と英製薬大手アストラゼネカ

トラスツズマブ・デルクステカンは抗体に低分子薬を結びつけた抗体薬物複合体(ADC)で、従来の薬より高い確率でがんを狙い撃ちできる。ピーク時の売上高は年間5000億円を上回るとみられる。

29日の東京株式市場で、第一三共の株価は一時、制限値幅の上限(ストップ高水準)となる前日比700円(15.9%)高の5100円まで上昇した。市場では「海外大手との提携でトラスツズマブ・デルクステカンの実用化が大きく近づいた」(外資系証券)との見方が出ていた。

アストラゼネカは製薬業界で世界10位前後。18年の売上高は220億9000万ドルで、うちがん領域が3割を占める。抗がん剤「タグリッソ」や糖尿病治療薬「フォシーガ」など、年間売上高が1000億円を上回る大型薬を複数抱え、70カ国以上で販売体制を築いている。第一三共とはこれまでも胃潰瘍薬「ネキシウム」を日本国内で販売する提携などを結んでいる。第一三共が開発した製品をアストラゼネカが販売する契約は初めて。

第一三共は降圧剤「オルメサルタン」などかつての主力薬の特許切れで収益が落ち込んでいる。19年3月期の連結売上高見通しは前期比5%減の9100億円。純利益は9%減の550億円を見込む。次の成長をがん治療薬に託して製品群の充実を進めており、17年度に200億円弱だった抗がん剤の売上高を25年度に5000億円に伸ばす方針だ。

 ▼ADC(抗体薬物複合体) がん細胞などあらかじめターゲットに定めた分子にくっつく抗体医薬と薬物を結合させた次世代の医薬品。目標のがん細胞にくっついた後で細胞内に薬物を投下。より効率的にがん細胞だけを攻撃できる。
 医薬品メーカーや研究者の注目度は高く、国内大手では第一三共のほかエーザイが開発を進めている。武田薬品工業やスイスのロシュは製品化している。世界の市場規模は2020年に8000億円に達するとの見方もある。
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