2019年5月21日(火)

新興国の通貨安 トルコが拍車
アルゼンチンペソ最安値圏

経済
2019/3/29 1:30
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新興国通貨に動揺が広がっている。米国の利上げ路線修正を受け年明け以降に一旦広がった緩和相場ムードは一変、投資家の関心は世界経済の弱さに向かっている。トルコでは強権的な市場介入も重なり通貨リラの乱高下が続く。アルゼンチンペソは最安値圏に沈む。新興国通貨の変調は世界経済の減速に過敏になった投資家の警戒を映している。

トルコリラは今月22日、対ドルで一時6%強急落し約5カ月ぶりの安値を付けた。きっかけはトルコ中銀の外貨準備の減少など、経済環境悪化を取り上げた投資銀行のリポートとされる。

31日の統一地方選を前にリラ安を阻止したいエルドアン政権は強硬策に出た。海外勢がリラを空売りできないよう、国内の銀行に対しリラと外貨のスワップ取引に応じないよう命じたとされる。

人為的なリラ不足を受け27日のロンドン市場ではリラの翌日物スワップ取引金利が年1200%まで急上昇した。「超高金利を払う必要が生じ、海外勢も空売りを仕掛けにくくなっている」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏)

結果的に海外勢の売りは債券や株式市場に向かい、トルコの株価指数は27日、6%安と急落した。1日の下落率としては約2年8カ月ぶりの大きさだ。28日には再びリラの対ドル相場も一時5%安と大幅に下落した。度重なる強硬策は海外資金を遠ざけ、経常赤字国に必要な外資の流入を妨げかねない状態だ。

25日、トルコ・イスタンブールに掲げられたエルドアン大統領の巨大な選挙ポスター=共同

25日、トルコ・イスタンブールに掲げられたエルドアン大統領の巨大な選挙ポスター=共同

問題は、動揺がトルコにとどまらず新興国全体に広がりかねないことだ。底流には景気低迷や政治不安など共通する脆弱性が横たわるだけに、何かあれば新興国通貨が売られやすくなっている。

アルゼンチンペソは28日も東京外国為替市場で対ドルで1ドル=43ペソ台後半と過去最安値圏で取引された。ブラジルレアルは約5カ月半ぶり、南アフリカランドも約3カ月ぶりの安値圏で推移する。

アルゼンチンは18年の実質経済成長率がマイナスで物価上昇率が約50%と高止まりしている。ブラジルではテメル前大統領が汚職に関わった容疑で逮捕され、議会の不安定化が伝えられる。ブラジルは株価も27日に4%下落し、約3カ月ぶりの安値水準を付けた。

先進国でも世界の景気減速に伴う企業業績への懸念が重荷になっており、リスク資産の株が売られがちになっている。

ドイツ半導体大手のインフィニオンテクノロジーズは27日、中国での需要減などを理由に19年度の売上高見通しを下方修正した。流れは日本株市場の半導体関連株にも及び、28日はルネサスエレクトロニクスが一時7%、ロームが同6%下落した。日経平均株価の終値は前日比344円97銭(1.61%)安い2万1033円76銭だった。

目下、マネーが向かう先は先進国の債券だ。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が27日、利上げ時期を先送りする方針を示したのを機に、ドイツの長期金利はマイナス0.09%台まで低下。約2年5カ月ぶりの低水準を付けた。米長期金利も一時2.35%と約1年3カ月ぶりの水準だ。

28日の国内債券市場では長期金利の目安となる新発10年物国債の利回りは一時マイナス0.100%と約2年7カ月ぶりの水準まで下がった。

金融市場では昨年末の急落後に2月ごろまでは、株も債券も安定した「適温相場」への回帰が取り沙汰されていた。市場の雰囲気は一変、今はリスク回避に敏感が動きが目立っている。

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