2019年6月20日(木)

富士通、長期低迷打破できるか 新社長に時田氏
海外事業立て直しに挑む

ネット・IT
エレクトロニクス
2019/3/28 23:13
保存
共有
印刷
その他

富士通は28日、システム構築畑で海外のIT(情報技術)サービス事業を統括する時田隆仁副社長が社長に昇格する人事を発表した。かつては「日の丸IT」の雄だったが、事業売却や人員削減などリストラ続きで低迷が目立つ。海外部門の責任者を務める時田氏の下、改めて海外での成長戦略を描くことが急務となる。

富士通の社長に就任する時田隆仁副社長(右)と会長に就く田中達也社長(28日午後、東京都港区)

「サービス領域を海外でも強化したい」。都内で開いた記者会見の席上、時田氏はこう語った。実はこの抱負は4年前に社長に就いた田中達也氏が就任時に語った抱負とほぼ同じだ。このことが同社の停滞ぶりを物語っている。

田中社長は人員削減が社長交代の理由ではという見方は否定したものの、同社では通例5年務める任期を1年早めて代表権のない会長に就く。山本正已会長は取締役シニアアドバイザーに就く。

時田氏は1988年の入社から2017年まで一貫してシステム構築畑を歩んだ。当初は生命保険、05年からはメガバンクの顧客を担当し、難易度の高い勘定系システムの再構築案件などをマネジメントしてきた。

17年からは英国に駐在し、海外のITサービス事業を統括する責任者となった。

田中社長は「金融の大規模プロジェクトの経験から、多少の困難があっても動じない」と評し、富士通が難局を迎える中で時田氏の起用を決めた理由を説明した。

富士通はかつては高性能のメインフレーム(汎用機)や通信機器、半導体などで国内のエレクトロニクス産業をリードしてきた。

だがITバブルがはじけた2000年代前半からは半導体事業などハードで中国や韓国企業の攻勢を受けた。さらに米アマゾン・ドット・コムなどが提供するクラウドの台頭でソフト販売も伸び悩むようになり、業績が低迷。相次ぐリストラによる事業の縮小・整理に追われた。

18年3月期の連結売上高は4兆983億円と、直近のピークだった01年3月期の約4分の3に縮小した。

この間、非中核事業を売却し、経営資源をシステム構築に集中させてきた。かつては米IBMを追う立場だったが、IT分野では新たな強敵がひしめく。今回、時田氏は海外に活路を見いだす方針を示したものの、活路を開くのは容易ではない。

成長戦略としては、従来のハードや業務システムのパッケージソフト販売中心の体制を改め、人工知能(AI)やビッグデータといった技術を活用し、顧客企業のビジネスの再設計を支援する提案型の営業への切り替えを目指す。

こうした提案型の営業では従来のNECや米IBMだけでなく、アクセンチュアやデロイトトーマツなど会計事務所系のコンサルティング会社も競合となる。コンサルティングのノウハウを磨き、技術力でも他社との違いを打ち出すことが求められる。

もっとも、海外事業の強化は富士通にとって目新しい戦略ではない。田中社長は就任一年目の15年に海外事業の売上高比率を50%以上にする目標を掲げた。

しかし、実際にはパソコンや半導体、スマートフォンなど競争力の弱い事業を順次切り捨てることに追われ、縮小した分を挽回するだけの成長戦略は描けなかった。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報