ペトロベトナム、海外石油事業で巨額損失か 当局が調査

2019/3/28 19:26
保存
共有
印刷
その他

【ハノイ=大西智也】ベトナム国営石油最大手、ペトロベトナムの海外事業の大半が損失を抱える可能性があることがわかった。ベトナム商工省の調査で、海外の13プロジェクトのうち11で事業の停止や資本が回収できないリスクがあることが判明した。グエン・ブー・チュオン・ソン社長は経営責任を取り、辞表を提出した。

海外事業の大半が失敗したとされているペトロベトナム(写真は同社のタンク)=ロイター

経営判断のミスによる巨額損失の疑いがあるとして公安省も捜査に乗り出した。

現地メディアによると、損失の可能性があるプロジェクトの大半は2009年から12年に実施。例えば、南米のベネズエラでの探査事業では現地企業と合弁会社を設立し、10年以降、油田開発を進めてきた。

最終的に1日に20万バレルの原油生産を見込んでいたが、採掘事業がほとんど進まずに既に事業が停止しているという。経済の低迷と高いインフレ率を受け、見積もりと実際の費用に大きな差が生じているもようだ。ベトナム側の損失は約5億ドル(約550億円)に達したとみられている。

南米のペルーでも12年以降、2カ所の油田開発事業に約7億5000万ドル(約850億円)を投じたが、調査の結果「投資回収ができないリスクがある」と指摘された。マレーシアやミャンマー、イランの事業も既に停止。ロシアの一部の事業やアフリカの事業でも採算が悪化している。

一方で、利益が出ている事業はロシアの一部事業と北アフリカのアルジェリアの2カ所にとどまっているという。今後本格的な捜査が進むとみられているが、ペトロベトナムの全体の損失金額は1000億円単位になるとの見方も出ている。

ソン社長は09年にペトロベトナム傘下の原油開発企業のPVEPの社長に就任し、16年にペトロベトナム社長に昇格した。ペトロベトナムは国営石油最大手で非上場企業だ。事業に関わる利権も多いとされ、巨額損失の背景に汚職の可能性も指摘されている。

同社を巡っては元会長で交通運輸相も務めたディン・ラ・タン氏が会長時代の巨額損失の責任を取らされ、18年に合計で禁錮31年の判決を受けている。ベトナム政府が今回の捜査で経営責任の範囲をどこまで広げるかが注目されている。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]