/

日仏連合内の執行兼務禁止、権限を分散 日産特別委が提言

記者会見する日産自動車の「ガバナンス改善特別委員会」で共同委員長を務める榊原(右)、西岡の両氏(27日夜、横浜市西区)

日産自動車が企業統治改善に向けて設置した「ガバナンス改善特別委員会」は27日、カルロス・ゴーン被告を巡る一連の不正の原因を「1人の取締役に権限が集中した」とする提言を発表した。報告書では日産の代表執行役が企業連合を組む仏ルノーと三菱自動車の執行役を兼務することも禁止。現経営陣への責任については「個人または法人の法的責任の有無を追及するものではない」と議論そのものを避けた。

「執行と監督のトップが一緒だったことが不正を招いた原因だ」。同日横浜市内で開いた記者会見の席上、共同委員長を務める東レ特別顧問の榊原定征氏は不正の根本原因を指摘した。

報告書では、ゴーン元会長は取締役会で質問や意見が出るのを嫌い、「開催時間は平均20分足らずだった」。また「何も言わない監査役を探すよう求められた社員もいた」という。

ゴーン元会長は日産を経営破綻から救った救世主として神格化が進み、「同氏や側近のケリー氏に反論したり、指示に従わない役職員らを異動させたり、退職に追い込んだりするなどした」。日産社内で誰も異を唱えない風土が醸成される中、「一部の管理部署がブラックボックス化していった」という。

特別委は基本的な企業統治の枠組みとして「指名委員会等設置会社」を提言し、6月末での移行を促した。「指名」「監査」の2分野では社外取締役が過半を占め、「報酬」ではすべての委員が独立した社外取締役が就くことを求めた。

現行で日産が採用する監査役会設置会社を「それ自体が問題というわけではない」としつつも、「国際的に分かりやすく、一定程度権限の集中を防げる」との理由から指名委員会等設置会社を支持した。社外の目を取り入れ、一連の不正の温床となった人事・報酬を巡る不透明なプロセスを防ぐ狙いがある。

ただ、自動車産業に詳しいナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリストは「指名委員会等設置会社への移行や会長職を不在にすることがガバナンスの機能を担保することにはならない」と指摘した。

権限の集中を防ぐ仕組みとして取締役会議長に社外取締役が就くことや会長職の廃止も求めた。また「日産の代表執行役は、ルノーその他の主要株主または三菱自動車工業の取締役、執行役その他の役職員を兼任してはならない」とし、企業連合内での権限の集中にも言及した。

報告書では理由について「利益相反のリスクを抱える」と指摘。ただ、榊原氏はルノーの取締役を「純粋な監督機関だ」とし、日産とルノーの取締役を兼ねることについては問題ないとした。

特別委はルノーとの間の資本関係についても言及しなかった。西岡氏は「基本的に会社が決めることで、委員会として踏み込むのは適当ではない」と語った。

西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)ら現経営陣の責任に対して直接の言及はなかった。弁護士で共同委員長を務める西岡清一郎氏は特別委の役割が「個々の法的責任を追及するものではない」と言い切った。

日産の現経営陣は今回の提言をもとに経営体制の見直しに入り、西川社長は「社内の動揺を収拾させる」と続投する意向だ。だが西川社長らがゴーン元会長の不正を見逃したのは事実。今回の報告書ではそもそも西川社長らが追及の対象から外れたにすぎず、説明責任は問われ続けることになる。

(湯沢維久、川上宗馬)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン