2019年9月23日(月)

農業再生担う若者育て! 福島大が新設学類、原発事故8年

2019/3/27 11:21
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福島県の重要産業の農業は、東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う風評などによって打撃を受けた。事故発生から今年で8年。「地域農業の再生を応援してほしい」という地元の声に応える形で、福島大学が4月、農業を学ぶ学類を新設する。将来世代を育成し福島の農に貢献することが期待される。

 福島大が新設した食農学類に合格した栗田実歩さん(6日、福島市)=共同

「自分で育てた野菜を使いカフェを経営する夢に一歩近づけた」。3月の合格発表日、福島県立郡山高3年、栗田実歩さん(18)は掲示板に自分の受験番号を見つけて目を輝かせた。

合格したのは新設の食農学類。料理が好きで、県産ニンジンでケーキを作ることもあると話す栗田さん。事故があった当時は小学生で、給食から地元食材が消え不安に思ったことを覚えている。入学後は「放射線の影響を学び安心して食べてもらえる作物を栽培したい」と夢を語った。

食農学類は2018年8月、文部科学省から設置認可を得た。きっかけは農業団体や自治体などからの要望。事故後、専門家が各地から集まっており、研究拠点の確保も必要だった。

福島県はコメなどの産地だが、原発から放出された放射性物質の影響で、作物の作付けや出荷が制限されたり、風評によって価格が下落したりした。事故が起きた11年、コメや果物、畜産などを含む県の農業産出額は前年比約2割減の約1851億円。県によると、17年になっても事故前の水準を取り戻せていない。

農業人口も減少している。全国共通の課題だが「福島は特に深刻で事故後、実際に営農を再開できた農家は6割程度」(県担当者)という。

食農学類は地元自治体と連携し、農家などでインターンシップも行う計画。自治体側にとっては若者を地域に呼び込むチャンスでもある。一時全村避難となり、住民の居住率が約2割にとどまる飯舘村の復興事業担当者は「学生の行動力やアイデアで農業を盛り上げてほしい」と期待する。

食農学類長に就任する生源寺真一教授は「風評に臆せず、不安を感じる人々にも寄り添える学生に成長してほしい。(事故の影響で)従来のコミュニティーは失われたが、新しい生産者が一から開拓するには好環境でもある」と話している。〔共同〕

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