熊本地震論文で不正、撤回を勧告 京大

2019/3/26 21:05
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京都大学は26日、大学院理学研究科の林愛明(りん・あいみん)教授が2016年に米科学誌サイエンスで発表した熊本地震に関する論文について、不正があったとの調査結果を発表した。6つの図のうち4つで改ざんや盗用を確認した。林教授に論文を撤回するよう勧告した。処分については今後検討する。

記者会見する京大の潮見佳男副学長(右)、湊長博副学長(中央)ら(26日、京都市)=共同

記者会見する京大の潮見佳男副学長(右)、湊長博副学長(中央)ら(26日、京都市)=共同

京大に外部から通報があり、2017年11月に外部の有識者を交えた調査委を設け、調査を進めていた。研究不正が故意かどうかは判断できなかったという。記者会見した潮見佳男副学長は「ご迷惑をおかけしました」と謝罪した。

論文は、熊本地震によって地表に現れた地割れなどを調査した結果、阿蘇山周辺のカルデラで新たな断層が現れたほか、地下のマグマだまりによって断層の破壊がくい止められたと主張した。新たなマグマの通り道ができて噴火のリスクが高まったと指摘していた。

林教授は東京大教授らが作成した地下の断層の状況を推定した図を引用したが、左右を反転させて掲載していた。地震を引き起こした地下の震源の位置が大きくずれるなど、結論を導き出す前提に問題が見つかった。防災科学技術研究所が公表している図を書き写している箇所も複数あった。

京大は「基本的な注意義務に著しく違反した」ため、不正と判断した。一方で、論文の共著者の不正は認めなかった。林教授は調査委の聞き取りに対し「ケアレスミスだ」と繰り返し主張。「論文の結論は変わらない」と強調したという。

林教授は中国出身で、海外の有力科学誌に成果を発表している。08年の中国の四川大地震では、現地調査にも加わった。

日本経済新聞は16年10月21日付の朝刊社会面と電子版で、林教授の記者会見などにもとづき、今回問題となった研究成果に関する記事を掲載しました。京都大の調査委が不正を認定、論文撤回を勧告したのを受け、記事を削除します。

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