2019年8月20日(火)

原告側、資産売却は先送り 元徴用工訴訟

2019/3/26 18:36
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【ソウル=恩地洋介】韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に賠償を命じた元徴用工訴訟の原告側弁護団は26日、差し押さえた同社の資産売却を先送りする方針を明らかにした。他方で同社の韓国内資産の開示手続きや、判決が確定していない不二越の資産差し押さえに着手。決定的な外交問題に発展しかねない手段を避けながら、賠償協議に応じるよう企業に対する圧力を強める狙いが透ける。

原告側の弁護団は26日に出した声明で「売却命令の申請を先に延ばし、日本企業に改めて協議を要請する」と主張した。弁護団は2月に東京の新日鉄住金本社を訪れた際に対応を拒まれ「早期に現金化の手続きに入る」と表明していた。

スタンスを微妙に変えた背景には、日本政府が対抗措置の検討を始めたことへの警戒感がある。対抗措置により韓国企業の経済活動にまで影響が及べば、原告側に慎重姿勢を求める声が強まりかねないからだ。声明はこうした動きを「韓国司法への不当介入であり、被害者の権利侵害だ」と批判し、国連などを通じて国際社会に問題提起すると警告した。

弁護団には賠償金支払いへの動きが一向に進まないことへの焦りもある。当初は日韓両政府の協議によって、元徴用工らに現金を支給する財団を設立する構想への期待もあった。しかし、韓国政府は対応策を示さず、日本側が要請した2国間協議に応じる見込みもない。

日本企業は朝鮮半島出身の元徴用工を含めた賠償請求問題は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」の立場を貫いている。こうしたなか、弁護団はあらゆる手段で企業に揺さぶりをかけ、和解協議に引き込む戦略を描いているようだ。

弁護団は新日鉄住金の韓国内資産を明らかにするため、ソウル中央地裁に財産開示の手続きを取ったと明らかにした。裁判所が同社に財産の提示を命じ、これに応じなければ「債務不履行」の名簿に記載され、韓国内の金融取引が制約を受ける可能性があるという。

新日鉄住金は弁護団がソウル中央地裁に財産開示の申請手続きをしたことに対し「当社が直接申請を受けたわけではないのでわからない」(広報)とコメントした。今後の対応については「日本政府と協議しながら適切に対応する」とした。

日本企業を相手取った訴訟の確定判決は今後も続く公算が大きい。原告側は上告審の判決を待たないまま、差し押さえ措置を取り始めた。弁護団は26日、裁判所の決定に基づき、不二越が韓国企業と合弁で設立した「大成・NACHI油圧工業」の株式7万6500株を新たに差し押さえた事実を明らかにした。

資産が差し押さえられた企業は新日鉄住金と三菱重工業、不二越の3社となった。いずれも資産の売却には至っていない。

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