2019年6月18日(火)

デジタル技術でどんな暮らしを実現したいですか?
越智仁・三菱ケミカルホールディングス社長 経営者編第1回(4月2日)

2019/4/2 2:00
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日々進化するデジタル技術をいかに経営に取り込むか。大きな課題です。私たちは2017年4月に先端技術・事業開発室を立ち上げ、日本IBMの研究所トップだった方をチーフ・デジタル・オフィサーとして招きました。デジタルに関して新たな視点を外部から取り入れ、これまでと全く違う発想で、研究開発から生産や販売のプロセス、人事や経理などのシステムを変えていこうという決意の表れです。

越智仁 三菱ケミカルホールディングス社長

越智仁 三菱ケミカルホールディングス社長

デジタル技術の導入で仕事のやり方を根本から変える。これをデジタル・トランスフォーメーションで可能となる大きな変化の1つと考えています。人工知能(AI)の登場で人間の仕事が奪われると心配する声もありますが、むしろ逆です。単純化された日常業務から解放された社員たちは、発想力が必要な仕事に時間や体力を使えるようになります。

製品やサービスでも、例えば今、世界で廃棄プラスチックの処理が問題となっていますが、回収しやすい、リサイクルしやすいプラスチックの開発などを、デジタル技術の活用で実現できるはずです。AIやICT(情報技術)を活用することで、遠隔医療が可能となり、遠くの病院まで行かなくても、住み慣れた地域や在宅でケアを受けることができるようになります。

日本の代表産業と言える自動車を取り巻く事業環境も変わりました。デジタル化の波が押し寄せ、これまで縁のなかった企業が自動運転の研究などに参画しています。空飛ぶ自動車は議論が始まったと思ったら、もう実現しました。変革のスピードは想像以上に速いのです。

私たちの生活空間は地上から空中、地下、水中とさらに広がるでしょう。最先端の変化を体感し、取り入れるために、私は最近、米国のベンチャー企業の若い経営者とも会っています。一緒にやろうと思える案件なら、即断即決します。社員には「デジタル・トランスフォーメーションは1日の遅れが5年の遅れにつながるぞ」と発破をかけています。

社員が気持ちよく働ける職場を作るうえで、デジタル・トランスフォーメーションは有効です。デスクワークから解放されれば、都心のオフィスに定時に集まる必要はなくなります。自宅や地方でも働けるようになると、通勤電車の混雑も緩和されますし、エネルギーの効率化にもつながります。

これまで実現できなかったこと、あきらめていたこと、夢だと思っていたことが、デジタル技術を活用すれば、次々に実現できるのでは。可能性は無限大です。そこで皆さんにお願いです。人とデジタルがうまく融合し、共存できたら、どんな新しいことが可能になると思いますか。私たちの生活はどのように変えられるでしょうか。あなたのユニークな発想で、新しい時代をデザインしてみてください。

越智仁・三菱ケミカルホールディングス社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちらから。

■編集委員から デジタルによる変革の波はモノの世界で始まり、情報の世界に波及し、今や生命科学の世界にも広がっていると、インタビューの中で越智社長は指摘されました。iPS細胞の活用など再生治療の進化はめざましく、デジタル技術がそれを加速しています。越智社長によると、現在40歳の人は50%の確率で100歳まで生きるという説があるそうです。日本人の平均寿命はますます延びそうです。

100歳まで元気で生きることが普通になると、今の60歳定年制や65歳からの年金支給などは当然、見直しを迫られます。技術革新が働き方改革や年金制度の見直しにつながる時代を迎えています。デジタル革命が生産性向上や品質改善を後押しし、それは製造業やサービス業にとどまらず、野菜・果物など農作物の生産、養豚・養鶏などの畜産業、魚の養殖など水産業にも及ぶでしょう。デジタル技術の起こす変化が私たちの日常生活を急ピッチで改善してくれるのです。(編集委員 鈴木亮)

◇   ◇

未来面は、日本経済新聞社が読者や企業トップの皆さんと課題を議論し、ともに作っていく紙面です。今回の課題は「デジタル技術でどんな暮らしを実現したいですか?」です。皆さんからの投稿を募集します。4月11日(木)正午が締め切りです。優れたアイデアを経営者が選んで、次号4月22日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイトで紹介します。

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