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JOC、もっとしたたかに

編集委員 北川和徳

日本オリンピック委員会(JOC)は1989年、日本体育協会(現在は日本スポーツ協会)から独立した新法人となった。政治に翻弄されて80年モスクワ五輪をボイコットした反省から、国の思惑の影響を受けない自立した五輪スポーツの統括組織を目指した。

平成の始まった年。新しい時代を予感させる出来事だった。しかしこの30年間、スポーツ自体が社会的な価値や影響を格段に高めたのに対して、日本の五輪スポーツは自立するどころか官への依存を強める一方だった。

事情はわからないでもない。五輪のプロ化が進んで世界的に競技レベルが上昇。選手強化に必要な資金も莫大となり、医科学面を含めて国を挙げての支援体制がなければ、メダル争いなどできなくなってしまった。

悲願だった2020年東京五輪が決まったことで、皮肉なことにJOCの立場はさらに弱くなった。国民の注目を集める分野で公金の投入が増えれば、国が統括団体など介さないで直接的に各競技に資金を配分、効果的に成果を得ようとするのは当然のことだろう。

JOC会長の後任候補に名前が挙がる山下泰裕氏。各競技団体が社会的な責任を担う資格がある組織に変わるよう、JOCは強力なリーダーシップ発揮が求められる=共同

だが、競技団体の大半は旧態依然とした体質をひきずる。JOCが真の統括団体なら、各団体が社会的な責任を担う資格がある組織に変わるように強力なリーダーシップを発揮すべきだった。それができなかった結果、スポーツ庁が競技団体の「ガバナンス(組織統治)コード」の策定に乗り出す事態を招いている。

改めて感じるのは、JOCという組織の無策ぶりだ。状況を把握して展開を読み、的確な次の一手を繰り出す戦略的な視点が欠けている。根底にボランティア意識がある日本の五輪スポーツ界に共通の弱点だろう。

竹田恒和会長の退任劇にも首をかしげたいことがたくさんある。退任を6月の任期満了としたが、それまでフランス当局の捜査が進まない確信でもあるのだろうか。

竹田氏の退任表明によって一件落着という雰囲気すら漂う。捜査が終結する見通しなど誰も持ってはいない。自ら潔白の証明ができないのなら、最悪の事態を想定した対応くらい今から考えておいてほしい。

(20年東京五輪まであと485日)

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