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小兵を「武器」に開花 大関・貴景勝が27日に誕生

大相撲の関脇貴景勝は27日、大関に昇進する。幕内で4番目に小さい身長175センチ(体重169キロ)の22歳は、コンプレックスだった小兵を武器へと変えて大きく開花した。

春場所の初日、妙義龍(左)を押し出しで破った貴景勝

強豪の埼玉栄高から初土俵を踏んだ2014年秋場所。当時173センチ、149キロの18歳は、巨漢ぞろいの幕内力士を目の当たりにして、先行きに不安を感じずにはいられなかった。「こんなところでやっていけるのか」

子供のころから力士として小さな体はコンプレックスだった。相撲を始めた小3のときは30キロの細身。そこから年間20キロずつ増やす涙ぐましい努力を重ねたが、わんぱく相撲の相手は常に自分より大柄。小6で90キロまで増やしても身長は160センチほどで巨漢に力で対抗するには限界があった。

「体が小さいから、どういう相撲を取ったらいいのかを感じないと相撲は取れない。小さいなりに何ができるのか、小さくても利用できる部分があるんじゃないか」と語る貴景勝はこう続ける。「小学校の時からずっと小さかったので、大きい相撲は取れない。とにかく瞬発力とか小さい人が優れる部分を探して取り組んできた」。先人の小兵力士を参考に考え抜いてきた。

特長を存分に生かした相撲を確立している。立ち合いで下から上へ強烈に突き、相手の上体を起こしてバランスを崩す。一気に押しきれなくても、相手と絶妙に距離を取ってまわしは与えない。リズムよく突きと引きの出し入れをして幻惑させ、瞬時のいなしで勝負をつけることも。胸を合わせなければ巨漢の持ち味を半減させたも同然だ。

技術も凝縮されていて、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は「(自分が)前へ落ちづらい角度で押している。それは下半身、土台がしっかりしているからできること」とたたえる。スピード感あふれる"F1相撲"で鳴らした元関脇琴錦の朝日山親方は「相手との距離の詰め方、引く動作など一つ一つのスピードが速くて相手はちゅうちょする。(まわしを引かれにくい)丸くて短い手足は武器だよ」と語る。

転機は右足を故障して初めて休場した1年前の春場所。「この体では幕内上位で壊れると教えてくれた」。それまで風呂に入って疲れを取ってきたが、けがを機に食事や体のケアを見直した。栄養学の知識は豊富でビタミンなどを効果的に摂取、体重管理を100グラム単位で行い、適正体重を維持している。屈強な肉体への意識がさらに高まると、一気に大関へと駆け上がっていった。

どういう大関になりたいかと問われた貴景勝は迷わず言った。「(自分に)まわしは取れないので、突き放して突き放してという相撲を徹底してやっていきたい」。小兵の特長を最大限に生かす相撲を追求し、貫き通した先に大関があった。(金子英介)

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