AI兵器、規制議論へ スイスで国際会議 大国の反対で難航も

2019/3/25 15:17
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【ジュネーブ=細川倫太郎】人工知能(AI)を搭載した新型兵器について議論する国際会議が25日、スイス・ジュネーブで始まった。規制の必要性や法的責任の問題が焦点で、日本政府は人間による操作への関与は不可欠と訴える。ただ、開発で先行する軍事大国の米国や中国、ロシアなどは規制に慎重な立場を崩しておらず、合意形成は難航が予想される。

米国は無人機を運用している=ロイター

AI兵器の在り方を巡っては各国が非人道的な兵器を規制する特定通常兵器使用禁止制限条約の枠組みで2014年から議論を始め、今回が4回目の会合となる。29日まで国際的なルール整備の必要性や倫理、技術管理、軍事的効果などで意見を交わす。

AI兵器は自ら標的を見つけ、自らの判断で殺傷する「自律型致死兵器システム」とも呼ばれている。兵士が危険地域に行く必要性が低下することや、的確な攻撃ができるなどの利点が指摘されている一方、誤作動やテロリストに渡るリスクなどへの懸念は強い。

自爆型ドローンなど人間がある程度管理する兵器は実用化されているが、全く関与しない「完全自律型」兵器は実戦配備されたことはない。ただ、米国や中国、ロシアは開発を競っており、戦場に登場するのは時間の問題といわれる。

最大の争点は国際的な規制が必要か否かだ。ブラジルなど途上国は「法的拘束力がある禁止条約を制定すべきだ」との意見が多い。一方、米ロは実用化前の規制は「時期尚早」との立場で、中国も厳格な規制を設けるのには反対している。

日本はAI兵器には人間の制御が欠かせないと主張し、国際的なルールの必要性を求める。事前に提出した文書には「日本は完全自律型兵器は開発しない」と明記した。

AI兵器が誤作動して一般市民を殺傷した場合、国家や製造者など誰が法的責任を負うのかという論点も残っている。一方、強い規制をかければ、災害援助など民生用に転用されうるAI開発にブレーキをかける可能性もある。

18年8月の前回会合では、AI兵器には「何かしらの人間の関与が必要」との共通認識ではほぼ一致したが、規制などを巡る意見の溝は埋まらなかった。議論は袋小路に陥っているのが実情だ。

米中ロを中心に開発自体は着々と進んでいる中、会議関係者からは「完全自律型兵器が完成してから規制しても手遅れ」との声も聞かれる。世界各地では非政府組織(NGO)による開発反対の運動も広がっている。

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