2019年5月21日(火)

南ア電力不足、成長下押し 隣国サイクロンで悪化

中東・アフリカ
2019/3/25 7:41
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【イスタンブール=佐野彰洋】アフリカ最大の工業国南アフリカで、電力不足が経済成長の足かせとなっている。国内の火力発電所の不具合とサイクロンが直撃した隣国モザンビークからの送電停止が重なり、国営電力エスコムが1週間以上にわたり計画停電を続けた。米ゴールドマン・サックスは事態が改善しなければ、2019年の成長率が最大で0.9%分押し下げられると警鐘を鳴らしている。

ろうそくの明かりで商品を探す商店主(18日、ヨハネスブルク近郊)=ロイター

「商店では冷蔵庫の停止で食料がいたみ、物流も滞っている。携帯電話の電波状況もよくない」。ヨハネスブルク近郊に暮らすテレビ局勤務の男性は計画停電下での暮らしの混乱を語る。

国内の石炭火力発電所の不具合や燃料不足から今回の計画停電が始まったのは14日。その後、モザンビークをサイクロンが直撃し、同国の水力発電所からの送電が途絶えたことで16日から事態が深刻になった。

ブラックアウトと呼ばれる全土での大規模停電を避けるため、国内電力供給の9割以上を握るエスコムは供給を400万キロワットも減らす「ステージ4」と呼ばれる態勢に移行した。国内需要の8割しか供給できない「ステージ4」は今年2月、約10年ぶりに1日だけ実施されたが、今回は6日間にわたって継続した。

大規模で断続的な停電は経済活動をまひさせる。自家発電を持たない中小企業や貧困層が特に大きな影響を受けるほか、街頭治安の悪化にもつながる。

南ア経済はズマ前政権時代の汚職や失政がたたり、18年の国内総生産(GDP)成長率は0.8%にとどまった。政府は19年に1.5%成長を見込むが、ロイター通信によるとゴールドマン・サックスは21日、計画停電の影響で1~3月期の成長率が0.3%分押し下げられ、事態が改善しなければ最大で年0.9%分成長が下押しされると指摘した。

5月8日には総選挙が迫るが、与党アフリカ民族会議(ANC)への支持は退潮傾向にある。ラマポーザ大統領は21日、国民の不満を意識し、信頼可能なエネルギー供給は「最も差し迫った優先事項だ」と述べたが、安定供給実現には時間と多大なコストを要するのが現状だ。

SMBC日興証券の平山広太シニアエコノミストは、国民の負担増を嫌った歴代政権の電力価格抑制、過大な賃上げを求めてストを繰り返してきた強力な労働組合の存在が供給能力の拡大に向けたエスコムの投資余力を奪ってきたと指摘する。「電力不足は南アの抱える構造問題を集約的に反映している」という。

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