タイ総選挙、大接戦 軍政継続の可能性高まる

2019/3/24 19:27 (2019/3/25 1:08更新)
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【バンコク=小谷洋司】24日に投開票されたタイ総選挙(下院選、定数500)は、軍事政権の事実上の継続を狙う親軍政党と、対立するタクシン元首相派の前与党が得票数で拮抗する大接戦となった。現地メディアによると、開票率が90%を超えても両党が第1党を巡って激しく争っている。親軍政側が想定以上に勢力を伸ばしており、プラユット暫定首相の続投の可能性が出てきた。

タイ総選挙で投票する(右から)プラユット暫定首相、民主党のアピシット元首相、貢献党のスダラット元保健相、新未来党のタナトーン党首(24日、バンコク)

タイ総選挙で投票する(右から)プラユット暫定首相、民主党のアピシット元首相、貢献党のスダラット元保健相、新未来党のタナトーン党首(24日、バンコク)

開票率92%段階での選挙管理委員会の集計によると、全国の得票数は親軍政の「国民国家の力党」が約750万票、タクシン派のタイ貢献党が704万票。貢献党は地盤の東北部、北部で強さを示したが、前回2011年総選挙に比べ勢力を大きく失うとみられる。

政府系の放送局のMCOTによると、両党は140議席前後を獲得する見通しだ。

タイ国会は上院と下院の二院制。選挙結果の確定後、上下両院の全750人で首相指名選挙を実施し、過半数を得た候補者が次期首相に就く。軍政下で発効した新憲法は上院(定数250)を軍政による任命制に変更したため、親軍政政党は下院の126議席を押さえれば上院と合わせてプラユット氏を選任できる。

ただ予算案や法案の通過には下院での過半数の確保が必要。このため選挙後、親軍政勢力とタクシン派の双方が連立工作を繰り広げる見通しだ。

14年のクーデターを挟んで約8年ぶりとなった総選挙で1票を投じようと、投票が始まった午前8時から投票所に長い行列ができた。

朝からバンコクの投票所に並んだ露天商のブンチュー・マライさん(60)は「(軍政の)独裁を食い止めるために投票に来た」と話した。主婦のジンダ・ラーサワンさん(76)は国民国家の力党に投票し「私は軍を信頼している」と話した。

立候補者のボードを見る親子連れ(24日、バンコク)=三村幸作撮影

立候補者のボードを見る親子連れ(24日、バンコク)=三村幸作撮影

タイ総選挙で投票する有権者(24日、バンコク)=三村幸作撮影

タイ総選挙で投票する有権者(24日、バンコク)=三村幸作撮影

国民国家の力党の支持を受けて続投をめざすプラユット暫定首相は24日午前、票を投じた。「すべてのタイ人に投票してほしい。それが自らの手で国の未来を選ぶための正しい道だ」と語った。貢献党の首相候補、スダラット元保健相は投票後「国民は民主主義が花開き、国に繁栄と幸福が訪れることを求めている」と述べた。

タイの王室事務局は23日夜「国の平和と秩序を守るためには、善良な人々による統治を支持する必要がある」とした故プミポン前国王の言葉をテレビで伝え、国民に熟慮のうえでの投票を促した。前国王の長男のワチラロンコン国王が発言を周知するよう指示した。

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