EU首脳会議、対中戦略を見直し
イタリアの中国接近を警戒

2019/3/22 21:12 (2019/3/23 1:00更新)
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【ブリュッセル=森本学、北京=高橋哲史】欧州連合(EU)は22日の首脳会議で、対中国戦略の練り直しを協議した。中国の欧州接近がEUの分断を招きかねないとの警戒感がにじむ。習近平(シー・ジンピン)国家主席の訪問に合わせて、イタリアは主要7カ国(G7)で初めて中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」を巡る覚書に署名する予定。中国マネーの欧州流入に対抗し、EUは中国へ市場開放の圧力を高めていく構えだ。

イタリアのマッタレッラ大統領(右から2人目)と記念写真を撮る中国の習近平国家主席(同3人目)=AP

イタリアのマッタレッラ大統領(右から2人目)と記念写真を撮る中国の習近平国家主席(同3人目)=AP

「中国は競合相手だ」。ユンケル欧州委員長は記者会見で、中国への警戒感をあらわにした。今回の首脳会議では対中関係の抜本見直しを協議。会議後に採択した総括文書は中国を直接名指しする表現は少なかったが、いたるところで中国への警戒がにじんだ。

柱の一つが、公共調達市場での「相互性」の強化だ。総括文書では欧州企業の公共インフラ市場への参入を制限している国には、その国出身の企業がEU域内の政府機関による入札に参加する場合、差別を容認する仕組みを検討すると明記した。国名は直接出てこないものの、「もちろん中国が念頭にある」(EU外交筋)。

EU域内への域外企業の参入は原則自由としている一方で、EU企業が中国の公共インフラ市場への入札を阻まれていることに、EU側では不満が募っていた。

首脳会議に先立ち、欧州委員会は12日、中国を「競合相手」と位置づける新戦略を公表。通商や次世代テクノロジーの主導権争いで急速に存在感を強める中国へ対抗心を示していた。

背景にはEU中核国のイタリアまでもが中国マネーになびいたことへのEUの衝撃がある。対中圧力を高め、EUの求心力を立て直す狙いが透ける。

中国側は「敵対的な競争はだれの利益にもならない。EUには客観的、理性的、公正に中国の発展と新たな改革開放をみてもらいたい」(中国外務省の陸慷報道局長)と反論する。

米国との貿易戦争が続くなかで、G7のイタリアを一帯一路に引き込んだことは、中国にとって大きな外交成果だ。習主席はイタリア紙への寄稿で「中国は対外開放を拡大する。イタリアを含む世界の各国と中国市場のチャンスを分かち合いたい」と指摘し、ほかの国にも一帯一路に参加するように呼びかけた。

米国との貿易協議を有利に進めるために、中国はEUを自陣に引き寄せる必要があると考えている。「米中貿易摩擦はあくまで2国間の問題で、われわれは第三者を利用したり、ましてや第三者に損害を与えたりしない」。李克強(リー・クォーチャン)首相は15日の記者会見で、米中の貿易戦争がEUとの関係悪化につながるとの見方を強く否定した。

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