不審電話の録音装置、需要が急増 「アポ電」事件で

スコープ
2019/3/24 11:30
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オレオレ詐欺などの被害防止のため、不審電話の通話内容を自動録音する装置の需要が急増している。きっかけとなったのは、東京都江東区の高齢女性が自宅に現金があるか尋ねる「アポ電」(アポイントメント電話)を受けた後に殺害された強盗事件。高齢世帯に無料で貸し出している自治体では、依頼急増により在庫が払底する状況となっている。

自治体が貸し出している自動通話録音機=東京都世田谷区提供

「入荷台数に達したため、予約受付を終了しました」。3月12日、世田谷区のホームページにこんな告知が出た。

同区は2015年から高齢世帯向けに自動通話録音装置を無料で貸し出しており、前日、新たに400台の予約受け付けを始めたばかりだった。これまでに約4千台を貸し出しているが、「1日で枠が埋まることなど過去にはなかった」(区の担当者)という。

自動通話録音装置は一般的にはがきほどの大きさで厚さ3~4センチ。電話線と電話機の間に取り付ける。複雑な操作なしで自宅にかかってきた電話の通話を録音でき、相手にも「会話を録音します」などと警告音声を流す機種が多い。

証拠の音声が残ることを嫌う詐欺グループなどを遠ざけ、被害を防ぐ効果があるとして警視庁も設置を推奨。実際に世田谷区では、導入した家庭が「オレオレ」などの特殊詐欺に遭ったケースはないという。

都内では15年ごろから高齢世帯に装置を無料で貸し出す自治体が増加。各自治体は定期的に在庫を補充しているが、江東区の強盗殺人事件が起きた2月28日以降、目黒区や西東京市でも問い合わせが殺到して在庫が払底する事態となっている。

市販されている装置も「品切れ状態が続いている。店頭で注文は受けているが、いつお渡しできるか分からない」(大手家電量販店の担当者)。自治体に多くの製品を納入しているレッツ・コーポレーション(名古屋市)では人気機種の在庫が底をつき、2万台の追加生産を決めた。営業担当者は「過去に例がない規模の生産量だ」と驚く。

江東区で起きた強盗殺人事件では、約2週間前に「お金はありますか」などと不審な電話が入っていた。1~2月に渋谷区で起きた強盗2件も事前に「アポ電」がかかってきていた。詐欺にとどまらず強盗にまで及ぶ者が出てきたことに警察当局は警戒を強めている。

強盗に入るような手荒なグループは録音にひるまない可能性もあり、立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「装置があるから安心と過信するのは禁物」と指摘。「とにかく相手のペースに乗らないことが大事。『忙しいから後でかけ直す』と切り返すなど、会話の主導権を握る話し方を普段から意識して」とアドバイスしている。

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