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豊島逸夫の金のつぶやき

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ヘッジファンドも注目、利上げか利下げか

2019/3/22 9:43
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米連邦準備理事会(FRB)が20日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ほぼ本欄の想定内の結果となった。「年内の利上げゼロ回」という市場の観測をFOMCが追認し、FRBの保有資産縮小は9月で終了する。縮小後のFRBの保有資産規模は3.5兆ドルといった具合だ。

ただ、FOMCが来年1回の利上げを見込んでいることは意外だった。市場では来年の「利下げ」予測が台頭しており、FRBと市場の見方が割れたことになる。

どちらが正しいのか。ここは、まさに今後の「経済データ」次第でFRBも市場も「忍耐強く」見守ることになろう。

FRBの経済見通しでは、声明文で一つ「形容詞」の変化があった。strong(強い)からsolid(堅い)と弱めの表現になったのだ。今後のFOMCの声明文でsolidがさらに弱めの形容詞に代われば、FRBの次の一手は「利下げ」となろう。

とはいえウォール街では、パウエルFRB議長の時代に入り「FED(FRB)を疑え」が合言葉になっている。今回の「年内利上げゼロ」は、あくまで現時点でのFOMC参加者の個人的見解の最大公約数にすぎない。「堅い」と表現されたFRBの経済見通しが、次回以降に再び「強い」に代われば、一気に年内の利上げ機運が高まるだろう。

イエレン前議長の時代は「FEDに逆らうな」と言われるほど、市場のFRBに対する信頼は厚かったが、パウエル議長は発言がぶれる傾向があり、市場はそのたびに混乱してきた。その結果、今回のFOMC決定も、うっかり信じると次回以降に「ちゃぶ台返し」となるリスクが意識される。

「FRBのハト派姿勢」が市場に与える影響も賞味期限限定なのだ。

この市場の懸念があるゆえ、FOMCを受けたニューヨーク株式市場で株価が上昇するのかと思いきや、20日のダウ工業株30種平均は141ドル安で引けたのだ。

FOMCの声明文発表の約1時間前、トランプ米大統領が米中通商交渉について「たとえ合意後も追加関税は取り下げず」と発言したことも効いた。

株式市場の視点では、せっかくパウエルFRB議長が「緩和姿勢」を明確にしてくれたのに、トランプ大統領が冷や水をかけた感があった。トランプ氏の問題発言の影響は一過性だが、金利の要因として日々のマネーフローにじわり効き続ける。

21日の米国株は、素直にFRB発の金利要因が米中の政治要因に勝り、ダウ平均は216ドル高で終えた。

ただしFRBを疑うヘッジファンドは、「データ次第」で次のFOMCに先んじて動く姿勢だ。今後の経済指標が一転して良い数字の連続となれば、FRBのハト派スタンスを無視して利上げ臨戦モードに戻るであろう。冷静に今回の声明文を読み返し、パウエル議長の記者会見発言を反すうすれば、FRBも経済見通しには難渋して決めかねていることがわかる。それゆえ「忍耐強く」待つという表現を繰り返しているわけだ。

市場は先走り過ぎていないか。すでに「反省」モードも垣間見られる、マーケットの最新状況である。

なお、気になるドル円相場だが、外国人投資家の視点では日銀による追加緩和政策手段の手詰まり感が意識され、円買いから入る投機筋の手口が顕在化しそうだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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