2019年8月17日(土)

シンガポール政府、ハイフラックスの水処理施設 無料で接収も

2019/3/22 1:45
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【シンガポール=中野貴司】シンガポール公益事業庁(PUB)は21日、経営難に陥っているシンガポールの水処理会社、ハイフラックスの中核施設を無料で接収する可能性に言及した。同時に、本来なら請求できる補償を放棄する意思があるとも説明した。シンガポールの安全保障上、欠かせない水の確保を重視する姿勢を改めて強調する一方で、債権者や投資家の不安を和らげる思惑があるとみられる。

シンガポールの水処理施設大手、ハイフラックスの本社ビル

資金不足が深刻なハイフラックスは2月、債務を大幅に圧縮する再建案をまとめており、4月にも開く債権者集会で関係者に理解を求める見通しだ。一方、水の買い手であるPUBは3月上旬、ハイフラックスが運営する海水淡水化施設「トゥアスプリング」について、4月までに状況が是正しなければ契約に基づき施設を接収することになると通知していた。

これに対し、スポンサー候補であるインドネシアの大手財閥サリム・グループなどはハイフラックスへの救済案を取り下げる可能性を通告していた。

PUBは21日の声明で、海水淡水化施設「トゥアスプリング」の価値が現時点でマイナスであると指摘。本来ならハイフラックスはPUBに補償を支払わなければいけないものの、PUBはハイフラックスの財務状況を勘案して補償を請求しない用意があると強調した。

その上でPUBの接収は、ハイフラックスの再建可能性を高めることにつながるため、サリム・グループなどが手を引く口実に使われるべきではないと説明した。

PUBがこうした声明を出したのは、債権者などの間でハイフラックスの救済計画を不安視する見方が根強いためだ。ハイフラックスに補償までを求めない方針である点を明確にして、PUBが再建計画が頓挫する引き金を引く意図はないと強調したかったもようだ。

一方、声明はシンガポールの水の安全保障を担うPUBの役割や、海水淡水化施設の重要性にも触れている。4月の債権者集会まで、利害が必ずしも一致しないスポンサー候補や銀行を交えた関係者間の綱引きが続きそうだ。

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