BMW「19年も大幅減益」 政治リスクに翻弄

2019/3/21 16:04
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【ミュンヘン=深尾幸生】独BMWは20日、2019年12月通期の純利益が18年に比べ「大幅に減る」との見通しを発表した。次世代技術への投資を増やすほか、英国の欧州連合(EU)離脱や米国発の貿易摩擦が影響する。「合意なき離脱」や米国の欧州産車に対する関税引き上げは織り込んでおらず、これらが現実になれば減益幅はさらに膨らむ可能性がある。

BMWは2019年も政治リスクにさられる。(写真は年次記者会見でのクリューガー社長。20日、ミュンヘン)

ハラルト・クリューガー社長らがミュンヘンの本社で年次記者会見を開き、決算などを公表した。逆風に対応するため22年までに120億ユーロ(約1兆5千億円)のコスト削減を進めることも明らかにした。

18年の純利益は17年比17%減の72億700万ユーロ(約9100億円)だった。19年はさらに減少する。自動車部門の売上高営業利益率は17年の9.2%から18年は7.2%、19年は6~8%を見込む。主力の「3シリーズ」や利益率の高い大型多目的スポーツ車(SUV)「X7」の新車投入が収益押しあげ要因になるが、利益率の低下は止まらないとの予測だ。

見通しは「合意なき離脱」も米国による欧州産車の関税引き上げも起こらないのが前提だ。ニコラス・ペーター最高財務責任者(CFO)は「自分たちではどうすることもできない変数が多すぎる」と嘆いた。

BMWは世界の製造業大手の中でも、政治リスクに大きく翻弄されている企業の1社だ。

すでに影響が出ているのが米中の貿易摩擦だ。米国から中国への自動車輸出額はBMWが18年まで5年連続で最多だったが、18年の台数は17年比14%減った。米国生産台数も4%減だった。中国による米国産車に対する関税引き上げなどが18年の営業利益を2億7千万ユーロ引き下げた。19年も5億ユーロ前後の負の影響を見込む。

英国のEU離脱では、傘下のミニとロールス・ロイスが英国に完成車工場を構えるほか、BMWのエンジン工場もある。BMWは部品や完成車の在庫を積み増しているほか、ミニの工場の4月の生産休止を決めている。

これまでに情報システムの変更などで数千万ユーロの影響が出た。合意なき離脱にならなくても、決定済みの工場休止などの措置だけで影響額は数億ユーロに膨らむと見積もる。

合意なき離脱になった場合はミニやエンジン生産の大陸側への移管を検討すると表明済みだ。生産担当のオリバー・ツィプセ取締役は「(英国と欧州の交渉の結果)関税が5%以下に落ち着くなら、ミニは英国にとどまる」と述べた。5%を超えた場合については「情勢を見守る」とした。

トランプ政権が検討している欧州産車への関税引き上げについてクリューガー社長は「ないと確信している」と強調した。投資調査会社のエバーコアISIは、関税が現在の2.5%から25%に引き上げられた場合、BMWの営業利益に対して17億ユーロの逆風になると試算する。

政治がらみのリスクに加え、環境規制の強化や自動運転競争などの投資負担も重くなる。18年は研究開発費が13%増え、設備投資が7%増えた。19年もこの傾向は変わらないという。

クリューガー社長は120億ユーロのコスト削減を「次の10年のための基礎となる」と強調した。リスクを緩和し未来への投資を続けるための原資とする。需要が低迷している欧州でのディーゼルエンジン搭載モデルなどを対象に、エンジンと変速機の組み合わせの選択肢は半分に減らす。BMWとミニ、ロールス・ロイスに分かれていた販売部門は統合する。

BMWの18年の売上高は1%減の974億8千万ユーロ。期中の自動車販売台数は249万664台と1%増えた。19年も販売台数は増えるとみている。

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