2019年5月27日(月)

グーグルに1900億円制裁金、欧州委「独禁法違反」

データの世紀
ネット・IT
ヨーロッパ
2019/3/20 20:26 (2019/3/21 1:48更新)
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【ブリュッセル=森本学、シリコンバレー=中西豊紀】欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、米アルファベット傘下のグーグルに14億9000万ユーロ(約1900億円)の制裁金を払うよう命じた。2006年から16年にかけてインターネット広告事業でEU競争法(独占禁止法)に違反したと判断した。グーグルの同法違反認定は3度目。EUはIT分野の巨人企業の取り締まりを強めており、日本や米国でもデータ寡占への警戒が広がっている。

「競争を制限するような契約を結ぶことで、ネット広告分野での支配的な地位を固めてきた」。EUで競争政策を担うベステアー欧州委員は20日、記者会見でグーグルをこう断じた。

競争法違反と認定したのは、利用者が入力する検索キーワードに連動した広告を表示する「アドセンス」での行為だ。グーグルは自社サイトだけではなく、ブログや旅行情報サイトなどといった第三者のサイトに同じ仕組みを使った広告を載せるビジネスで収益を得ている。

欧州委によると、グーグルはアドセンスを使う第三者のサイトに対し、06年から16年にかけて(1)競合サービスが配信する広告の掲載を禁止(2)グーグルが配信する広告を最も目立つ場所に一定数以上掲載することの義務付け(3)競合サービスの広告を掲載する場合は事前にグーグルの了承を書面で得る――などの条件を課していた。

当時のグーグルの欧州でのネット広告分野の市場シェアは7割以上だったといい、優越的な立場を使って競争を妨げたと欧州委は断定した。

ほかのサービスでもグーグルは欧州委から競争法違反を認定されている。18年7月には携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」とアプリの抱き合わせについて、過去最高となる43億4000万ユーロの制裁金支払い命令を受けた。これに先立つ17年6月には買い物検索での自社優遇に関し、約24億ユーロの支払いを命じられた。

グーグルは過去2回の欧州委の制裁金命令を不服として、EU司法裁判所へ提訴している。グーグルのケント・ウオーカー上級副社長は20日、「欧州委員会の懸念に対応するため、すでに幅広い製品で変更を行ってきた」との声明を公表した。

今回の違反対象となったアドセンスは、グーグルの主力収益源だ。ただ16年以降、問題となった契約体系を取りやめており、制裁金による事業面への影響はわずかとみられている。欧州域内の検索市場で9割超のシェアを握っており、ライバルの台頭はもはや難しいのが実情だ。

ただ、ベステアー欧州委員は20日、グーグルの求人検索なども調査を進める構えをみせた。圧倒的な存在感で展開するデジタルビジネスへの監視を強めようとしている。

IT巨人企業の優越的な地位を乱用する行為への警戒は、欧州以外にも広がる。日本では政府が20年にも新たな監視組織を発足させるほか、公正取引委員会が2月下旬からIT大手の取引慣行の実態調査を開始。独禁法の違反行為がないかなどを取引先から聞き取り、取り締まる方針だ。

グーグルのお膝元の米国でも、民主党から米大統領選に立候補を決めたエリザベス・ウォーレン上院議員がグーグルやフェイスブックなど「GAFA」と呼ばれるIT巨人企業の「解体」を公約に掲げた。独禁法の適用が緩い米国でも、グーグルなどには厳しい目が向けられ始めている。

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エリザベス・ウォーレン上院議員(右)は、アマゾンなどの巨大IT企業の分割を公約に掲げる(9日、テキサス州オースティン)

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2019/3/13付

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