ロボット同士の会話って難しい? セコマ、北大が実験

2019/3/30 7:00
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異なるメーカーのロボットが会話をする。こんな実験をコンビニエンスストアと大学が北海道で進めている。簡単そうに聞こえるが、技術的には難しいらしく、前例がほとんどないという。ロボット同士の会話とはどのようなものか、人間社会にどのように役立つのか。もろもろの疑問を抱えながら実験会場に足を運んだ。

「僕もこのクッキーには目がないんだよ。しかも、おいしいだけじゃなくて……」

「え、なに?」

「クッキーの売り上げの一部が、北大の研究や教育のために使われているんだよ」

2月末、北海道大学(札幌市)の中にあるコンビニエンスストア、セイコーマート。ソフトバンクのヒト型ロボ「Pepper(ペッパー)」とヴイストン(大阪市)製の小型ロボット「Sota」が、やや甲高い声で会話をしている。

この会話は商品の説明だが、そのほかに使える電子マネーの説明など基本的には商品と店舗の説明だ。ぎこちなさはなく、なめらかに会話が進み、ロボットがどんなことを話すのかに興味がわき、思わず聞き入ってしまう。だじゃれを織り交ぜる芸の細かさも光る。

実験を進めているのは北海道を中心にコンビニエンスストアを運営するセコマ(札幌市)と北海道大学。ソフトは同大学の大学院生が開発した。店員が事前に設定した会話内容に沿って2つのロボが商品を宣伝。使いやすさや顧客の反応を確かめた。

会話ができる仕組みは、店員がスマートフォン(スマホ)のアプリで入力したセリフを2体が話しているのだという。

ん?

ロボットが相手の言葉を聞いて理解し、人工知能(AI)などでふさわしい答えを探して会話しているのではない。あらかじめ入力した筋書きどおりに話すだけなのだ。うーん、失礼ながら何か手の込んだおもちゃという感を受けるのだが……。

ただ、ソフト開発者の北大大学院1年の水丸和樹氏によると、そう簡単な話ではないらしい。メーカーの違うロボットでは内部の命令系統も異なるため、たとえ既に決められた会話であっても成立させるのは難しいのだという。

そこで2体に共通の基板を搭載することで、この課題を解決。会話や間合い、顔の向きなども設定する。特別な知識がない人でもスマホで会話の内容を入力できるという手軽さが売りだ。

ロボット同士の会話は物珍しいため会話を集中して聞いていると商品の内容、特徴が頭に入ってくる。確かに販促にはうってつけかもしれない。

しかし、それ以上何の役に立つのだろうか。実験を進めるセコマや北大によると次のような説明があった。将来、様々なメーカーのロボットが身の回りで使われるようになるだろう。そのときにロボット間でスムーズな連携ができ、ゆくゆくは人々の生活に役立つのだという。

期待は高い。経済産業省と情報処理推進機構(IPA)による「未踏IT人材発掘・育成事業」に選ばれ、支援を受けている。これは独創的な技術を持つ若い人材を育成し、将来、社会にインパクトを与える技術革新を生み出すための事業だ。

今回のロボット同士の会話には若干肩すかしをくらったが、これが小さな一歩になってロボットが身近な存在になるのかもしれないと思いながら取材を終えた。

(札幌支社 向野崚)

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