2019年4月18日(木)

DeNA、自動運転に注力 ゲームに代わる事業の柱に

ネット・IT
自動車・機械
2019/3/20 16:56
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DeNAが事業構造の転換を急いでいる。主力のゲーム事業が不振で、2018年10~12月期に営業損益が赤字に転落した。国内のスマートフォン(スマホ)ゲーム市場は米中などの海外製ゲームの人気が高まっており、競争が激化している。日産自動車と組む自動車関連サービスを新たな柱の1つと見込むが、収益化にはまだ時間がかかりそうだ。

DeNAが今最も力を入れる自動車関連事業。3月中旬、日産と共同開発している自動運転車を使った交通サービスの実証実験を報道陣に公開した。20年代前半の実用化を目指すという無人タクシーサービス「イージーライド」に記者も乗ってみた。

乗降できる場所は去年の4カ所から15カ所に増え、エリアもみなとみらい21地区から関内地区まで拡大した。一周のルートは前回の約6.2倍の約28キロメートル。9~16時の間であれば、自分が乗りたい時間に配車依頼ができる。DeNAのオートモーティブ事業部の町川高明氏は「今回はより無人でのサービスを見据えて検証した」と説明する。

専用のアプリを立ち上げ、行きたい場所を選択する。記者は日産本社から中華街に行くことにした。中華街を選ぶと、一番近い降車ポイントが指定された。配車依頼のボタンを押すと配車が完了。スマホのタップ回数は3回ほどで済んだ。アプリの地図上に自分の現在地と乗車ポイント、実験車両の現在地が表示される。

しばらくすると、日産のミニバンの実験車両が到着した。車のドアにはQRコードが貼ってあり、アプリでQRコードを読み取ると、すぐに車のドアが開く。実験では無人でサービスを提供できるか検証するため、乗降ポイントにスタッフはおらず、自分でスマホアプリを操作する。

乗車すると、後部座席に大きなモニターがあり、「シートベルトを締めて発車ボタンを押してください」と表示と音声で促される。シートベルトを締めて窓際に設置された「GO」ボタンを自分で押す。するとドアが閉まり、車が自動で発進した。

ガイドラインにのっとった実験のため、運転席にはスタッフが座り、ハンドルの近くに手を添えているが、運転は自動だ。路上に止めている車があったり、車線変更で車が前方に出てきたりすると、自動で速度や車線を変更。急ブレーキなどもなく、加速もスムーズ。運転席を見なければ自動運転か人の運転かわからないほどだった。

後部座席のモニターには、地図と共に車両の現在地と進行ルート、所要時間が表示される。また目的地付近の飲食店やイベント情報も表示される。手元のスマホアプリでより詳しい情報を見られる。

実験車両は予定通り約20分で中華街近くの降車ポイントに到着。降車時に必要な手続きは特になく、そのまま降りるだけ。実験に参加した横浜市在住の糸井忍さん(42)は「アプリの操作もスムーズで、本当に人がいないとプライベート感がもっとすごいのだと思う」といい、サービスに満足したようだ。

DeNAが自動車事業に力を入れるのは、主力のゲーム事業が振るわないためだ。DeNAの18年3月期の売上高は1393億円で、ここ数年横ばいが続いている。直近四半期の18年10~12月期には営業損益が21億円の赤字に転落した。ゲーム事業の営業利益がほぼ半減し、自動車サービスなど新規事業の先行投資を補えなかった。

自動車関連を新たな柱と見込むが、足元はまだ赤字が続く。自動運転を活用したサービスは実用化まで時間がかかる。それまで、カーシェアや配車サービスで自動車分野の事業基盤を固め、自動運転が実用化された際、大きな利益を狙う計画だ。

自動車向けサービス事業では、スマホゲームなどで培った消費者向けのアプリや運営サービス、人工知能(AI)のノウハウを活用できる。配車サービスと同様に配車手数料の一部を受け取るほか、システムやアプリの使用料も売り上げとして見込む。

自動運転では日産と組んでいるが、他の自動車関連サービスでも異業種の大手との協業をテコにする。SOMPOホールディングスとは個人間で車を貸し借りするカーシェアリングとリースの2つの分野でそれぞれ新会社を設立した。DeNAが15年から展開してきた個人間カーシェア事業「エニカ」を新会社に引き継ぐ。エニカ単体での黒字化は難しく、SOMPOHDの顧客網を生かしてユーザー数を増やす狙いがある。

タクシー会社と組んで、タクシー配車サービス「MOV」も提供している。スマホで簡単に配車できる他、今後はタクシー運転手にはAIによる需要予測を提供する予定だ。

政府は20年をメドに限られた条件の範囲内でシステムに運転を委ねる「レベル3」の自動運転車の実用化を目指している。カーシェアや配車アプリの手数料だけではそれほど大きな売上高は見込めないだろう。自動運転サービスが本格化すれば、一気に売り上げを拡大し黒字化できるのか。収益化の道筋を付けるまで、残された時間はそれほど多くない。

(企業報道部 桜井芳野)

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