LIXIL、深まる混迷 株主支持巡り攻防

2019/3/20 16:22 (2019/3/21 0:24更新)
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海外の機関投資家らの連合は20日、LIXILグループに対して潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)、山梨広一最高執行責任者(COO)の退任を求める目的で臨時株主総会を要求したと発表した。6月の定時総会を待たずに、臨時総会で2人に辞任を迫る考えだ。今後、焦点は外国人や個人など株主の支持獲得を巡る会社側と機関投資家側の攻防に移る。

LIXILグループの瀬戸欣哉社長(写真左)と潮田洋一郎会長兼CEO

LIXILグループの瀬戸欣哉社長(写真左)と潮田洋一郎会長兼CEO

臨時総会を要求した機関投資家は英投資会社マラソン・アセット・マネジメント、同ポーラー・キャピタル・ホールディングス、米インダス・キャピタル・パートナーズ、米タイヨウ・パシフィック・パートナーズ。

LIXILグループの伊奈啓一郎取締役。注)LIXILグループのホームページから

LIXILグループの伊奈啓一郎取締役。注)LIXILグループのホームページから

機関投資家らは2018年秋に瀬戸欣哉社長がCEOを退任し、潮田氏が後任に就いた人事に対し、企業統治に問題があると主張している。

LIXILが2月に発表した検証結果によると、瀬戸氏に辞任の意思がなかったにもかかわらず、潮田氏が「辞任する意思を持っているかのような発言をして指名委員会を招集し人事案を決めた」などと指摘。瀬戸氏には「(瀬戸氏を退任させる人事案は)指名委員会の総意であり、覆すのは困難」などと伝えた。潮田氏の言動が誤解を与えたと認めている。

今回、この連合に、LIXILグループの旧INAX創業家の伊奈啓一郎取締役も加わった。伊奈氏は「会社のガバナンスをより正しい方向に向かわせたいとの機関投資家の考えを伺い、賛同することにした」と声明を出した。伊奈氏は昨年10月の取締役会で瀬戸社長がCEOを退任する人事案などに反対していた。

株主総会での役員解任には出席した株主の過半数の賛成が必要になる。18年9月時点でLIXILの株主のうち4割を海外投資家が占める。一方、潮田氏の保有比率は約3%にとどまる。

LIXILのガバナンス体制を疑問視する他の海外株主がマラソンの動きに同調する可能性はある。すでに世界最大の運用会社の米ブラックロックがLIXILに対し、この人事に疑義を呈する書簡を送ったことも明らかになった。米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)など海外株主が参考にする議決権行使助言会社の判断も総会を左右する。

LIXILグループの19年3月期の連結純利益は15億円と前期と比べ97%減る見通しだ。トップ人事を巡る経営の迷走が続けば、業績低迷が長期化する可能性もある。

LIXIL広報は「株主からの書面の内容を確認次第、適切に対応していきたい」としている。

瀬戸CEO退任で対立

LIXILグループの前身企業の設立は2001年。建材大手の旧トステムと製陶大手の旧INAXを主な母体に、住設機器メーカー5社が経営統合して11年に誕生した。トステム出身の潮田氏は06年に会長兼最高経営責任者(CEO)に就くと、LIXILと社名変更した後も経営トップの座を占めた。結果、旧トステム出身者が経営を主導する体制が固まった。

茶道など文化に造詣が深い潮田氏は、経営の実務をプロ経営者に任せてきた。11年に米ゼネラル・エレクトリック(GE)の幹部だった藤森義明氏をCEOに迎え入れた。グローバル展開を加速したい潮田氏の意向を受けた藤森氏は、16年までCEOを務め、積極的な海外M&A(合併・買収)を推し進めた。

11年に伊ペルマスティリーザ、14年に独水栓金具大手のグローエなどを次々に買収。だが、15年にグローエ傘下の中国ジョウユウの不正会計に絡み660億円の特別損失を計上。ペルマスティリーザも赤字続きで、M&Aの負の側面が目立つようになった。

潮田氏が次に経営を委ねる人材として目をつけたのが瀬戸氏だった。

16年に社長に就いた瀬戸氏は海外での拡大路線の修正にかじを切り、後手に回っていた国内事業の立て直しなどを優先。次第に潮田氏との路線の違いが鮮明になっていった。潮田氏による本社のシンガポール移転案も浮上し、両者の対立は決定的になったとみられる。

18年10月31日開催の取締役会で瀬戸氏退任に反対したのは当事者の瀬戸氏のほか、伊奈氏と同様にINAX出身の川本隆一取締役の計3人。この時、社外取締役2人が採決に参加しなかったが、潮田氏を含む7人が賛成し承認された。

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