2019年5月26日(日)

フェイスブック、ターゲット広告見直し 差別批判受け

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2019/3/20 7:20
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【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは19日、住宅売買や求人、信用貸しでの広告に関して、性別や人種、郵便番号などを基に広告を出す対象を絞る仕組みを廃止すると発表した。一部の広告主が低所得と思われる人を恣意的にはじいているとの批判があり、これに対応する。広告を中心に個人情報を自在に活用してきたデータビジネスのあり方に一石を投じそうだ。

米国では住宅や求人、信用貸しで人を差別する広告を出すことを連邦法で禁じている。ただ、これまでのフェイスブックのシステムでは「低所得者層が多い郵便番号地域の人」を恣意的に広告対象から外すといったことが可能になっていた。年齢や性別も低所得者層を排除する選別に使われていた。

この問題を巡ってはナショナル・フェア・ハウジング・アライアンス(NFHA)や全米市民自由連合(ACLU)など市民団体がフェイスブックを提訴。米メディアでも差別を助長する仕組みとして批判の声が上がっていた。

フェイスブック広告は対象地域などを絞り込める

フェイスブック広告は対象地域などを絞り込める

19日、シェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)がブログを通じて広告方針の変更を発表。同氏は「新しい家を買ったり、仕事を始めたり、お金を借りたい人に対して広告は大切だ。それが特定の人を排除するようではいけない」との考えを示した。

フェイスブックに広告を出したい広告主は、複数あるカテゴリーを選択することで広告を見せたい対象を絞り込むことができる。例えば、サンフランシスコ市内のスポーツ用品店であればユーザーの住所を「サンフランシスコ市」とし、年齢を「10~20歳」「40~50歳」とすれば市内の中高生やその親に地域の学校で使うスポーツ用品を効率的に売り込める。

こうした広告手法は「ターゲティング広告」と呼ばれる。フェイスブックはユーザー自らが登録した基本情報や、「いいね!」ボタンをどこで押したかなどの情報に基づき、個人のデータを大量に保有している。広告主が選んだカテゴリーと、フェイスブックが持つデータを組みあわせることで精度の高いSNS広告を出稿できる仕組みだ。

ただ、差別と受け取られかねない広告を出す事業者もある。今回問題になったのは自分たちが好まない所得層や人種のひとたちとの取引を排除しようという事業者だ。選択カテゴリーを「男性」だけにすれば女性は排除できる。貧困層が多い地域の郵便番号をカテゴリーから外せば、そこに住む人たちは広告が見られなくなる。

NFHAはフェイスブックへの訴状で「子供を持つ家族や女性がカテゴリー外となることで、本人らが知らないまま広告対象から外されている例があった」と述べている。多様なカテゴリーをそろえてあらゆる広告を出稿できることを強みとした結果、差別を助長する事業者の登場を許した格好だ。

今回の措置に関して、フェイスブックは業績への影響は軽微だとしている。

個人データを駆使して交流サイト(SNS)上で対象を絞った広告を出すフェイスブックのビジネスは、その精度の高さから広告主をひき付けてきた。だが、2016年の米大統領選での偽ニュース問題以降、不祥事が多発。批判を受けて社内体制の見直しが始まっており、収益性よりも社会責任を重視した今回のような対応は今後も増えていきそうだ。

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