2019年8月22日(木)

ボーイング墜落事故原因、新機能の習熟不足が浮上

2019/3/19 20:00
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【ニューヨーク=中山修志】米ボーイングの小型旅客機「737MAX」の墜落事故に関連し、機体を自動制御する「MCAS」と呼ぶシステムについて操縦士が十分な説明や訓練を受けていなかった可能性が浮上している。米メディアによると、同社はフライトシミュレーター訓練を提供せず、端末を用いた2時間程度の簡易訓練を実施したのみだったという。

墜落機と同型のボーイング737MAX8=ロイター

米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、従来機種の「737NG」での飛行経験がある操縦士には737MAXのフライトシミュレーターによる訓練を不要とした。ボーイングが用意したのはタブレット端末を用いて従来モデルとの変更点を説明する2時間ほどの教材と、13ページのマニュアルだったという。

新型機の導入時には通常、操縦士は実際のコックピットを模したフライトシミュレーターを使って疑似飛行訓練を受ける。だが、米連邦航空局(FAA)は737MAXを旧モデルの派生機種と認め、端末による簡易訓練で足りると認めた。アメリカン航空の操縦士らはフライトシミュレーターによる訓練を求めたが、機材やデータがそろわないなどの理由で聞き入れられなかったという。

737MAXは昨年10月のライオンエア(インドネシア)に続き、10日にはエチオピア航空が墜落。エチオピアの墜落現場から回収したブラックボックスの分析にあたったフランス航空事故調査局(BEA)は18日、「インドネシアの事故との明確な類似点が報告された」と発表した。事故原因が単純な人為ミスではなく、機体やシステムの何らかの不具合だった可能性が強まった。

インドネシアの墜落事故ではMCASに用いるセンサーのデータに誤りがあり、システムが誤作動を起こした可能性が指摘されている。操作マニュアルではMCASに不具合が生じた場合は手動操縦に切り替えて運航を継続することになっていたが、操縦士が新システムの操作に習熟していなかった可能性がある。

FAAは昨年10月のインドネシアの墜落事故後、ボーイングに操作マニュアルを改定するよう求めたが、訓練内容は変えなかった。エチオピア航空の事故を受けてFAAは制御ソフトの改修を指示。操縦士の記憶に頼らない操作手順への変更を指示し、訓練要件の見直しも義務付けていた。

ボーイングのデニス・ミュイレンバーグ最高経営責任者(CEO)は18日のビデオメッセージで「間もなくソフトウエアを更新して新しい訓練方法を導入する」と語った。

格安航空会社(LCC)の台頭や燃費性能に優れた小型機の便数増で、旅客機のパイロットは恒常的に不足している。新型機の受注競争では時間のかかるフライトシミュレーター訓練が必要な機種より、端末による簡易訓練で済む機種が有利とされる。習熟不足が2度の大惨事を招いたとすれば、簡易訓練を認めたFAAの安全管理が問題視される可能性もある。

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