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サウジ原油、目標以上に減産 「拡大OPEC」の思惑も

2019/3/20 11:35
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サウジアラビアが原油生産量を絞り込んでいる。1、2月と石油輸出国機構(OPEC)の協調減産の合意より踏み込んで減らし、さらに削減する構えだ。自らのシェアを落とし、原油高を嫌うトランプ米大統領の怒りを買いかねない。それでも減産を主導するのは、価格下支えと同時に「拡大OPEC」ともいえる生産調整の枠組みを確立するためかもしれない。

サウジ主導の協調減産は原油相場の支えに(同国東部の製油所)=ロイター

サウジ主導の協調減産は原油相場の支えに(同国東部の製油所)=ロイター

協調減産に加わるOPECと非加盟のロシアなどは18日の会合で、6月末まで今の減産を維持する方針を確認した。「産油国の協力で、原油市場は正しい方向に進んでいる」。サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相はこう強調した。

サウジが非加盟のロシアなどを巻き込んで協調減産を始めたのは17年1月。3年目に入った協力体制は「OPECプラス」と呼ばれるようになった。

サウジの生産量は1月に日量1024万バレル、2月は1014万バレルと、目標数値を下回った。3月以降も一段と減らす姿勢を重ねてアピールしている。

国際エネルギー機関(IEA)によると、サウジの2月の減産順守率は153%。OPECで減産に取り組む11カ国でみても94%と高いのは、サウジの貢献が大きい。ロシアの減産の出足が鈍いのを補う面もある。冬は設備の凍結を防ぐため、ロシアは生産水準を落としづらい事情がある。

減産が守られているとの見方から、相場は堅調だ。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は1バレル59ドル前後。昨年末の1年半ぶり安値より4割高い。米中貿易戦争による景気減速懸念や、米国の増産といった売り圧力を中和している。

サウジが率先して減産の実効性を高めた効果だが、副作用もある。「減産しても米国のシェールオイルの増産で相場は安定せず、自らのシェアは落ちる」とエレメンツキャピタルの林田貴士代表取締役は指摘する。

既に米国の生産量は世界一だ。中東産原油と比べ割安感が強く、アジアにも輸出を増やしている。IEAは2024年までの石油市場見通しで、米国の原油・石油製品の輸出量がロシアを抜いて世界2位になり、首位サウジに迫ると予想した。

OPECが影響力の低下を警戒していないはずはない。「そうなる前に米国に対抗する『OPECプラス』として存在感を高める意図があるのではないか」と楽天証券の吉田哲コモディティアナリストはみる。

トランプ氏は2月末、ツイッターで原油価格上昇を改めてけん制し、協調減産の緩和を暗に求めた。サウジは昨年と異なり、減産を緩めるそぶりを見せていない。相場下落を招いては元も子もないとの警戒感に加え、協調減産のタガが緩むのを避ける思惑がにじむ。

世界の原油生産量に占めるOPECのシェアは3割だが、ロシアなど非加盟の減産参加国と合わせると5割に迫る。生産調整が市場に与える影響力は増す。一時的に身を切っても、サウジがこの体制の結束力を高める動機は十分にある。(久門武史)

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