2019年7月24日(水)

東北公示地価 宮城7年連続上昇 仙台 再開発がけん引

2019/3/19 16:50
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国土交通省が19日発表した2019年の公示地価(1月1日時点)で、宮城県の全用途平均が前年比4.2%プラスと7年連続で上昇した。福島県も住宅地・商業地ともに上昇した。他の4県は下落が続くものの、下落幅は縮小。都市機能を集約するコンパクトシティー化や再開発など上昇に転じる兆しとなる取り組みが進んでいる。

仙台市ではマンション需要が高まっている(仙台市で住宅地の上昇率1位の宮城野区小田原弓ノ町)

宮城県は住宅地の上昇率(3.5%)が全国2位、商業地(5.9%)も5位に入るなど高水準の上昇が続く。ともに仙台市の地価上昇が全体を押し上げており、同市の住宅地は5.8%、商業地は10.7%それぞれ上昇した。商業地は11年ぶりに2桁上昇となった。

宮城県の住宅地の上昇率1位は14.9%の仙台市宮城野区小田原弓ノ町。前年の上昇率は8.2%だった。仙台駅東口の再開発を受けて同地点を含むマンション用地の人気が根強い。不動産鑑定士の千葉和俊氏は「単身者向けの賃貸住宅ニーズが高まっている」と話す。

商業地では商業施設などができる東北大学農学部跡地の再開発を受け、周辺の地価が上昇している。上昇率1位は青葉区上杉2丁目63番5外で、再開発エリアに近く地下鉄南北線・北四番丁駅も徒歩圏内だ。

オフィス仲介、三幸エステートの森本泰史仙台支店長は「インバウンド(訪日外国人)が増え、市中心部のホテルは高い稼働率が続くなど商業地の地価は堅調」と話す。商業地の上昇率上位10地点は全て市中心部の青葉区内に集中した。

トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)が東富士工場(静岡県裾野市)を20年末までに閉鎖し、生産を宮城の工場などに集約することを受け、大衡村では住宅地が4.7%上昇した。上昇幅は前年比2.5ポイント拡大しており、千葉氏は「他地域から子育て世帯も流入しており、分譲マンションの売れ行きが好調」と話している。

■沿岸被災地、住宅移転需要落ち着く

東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部では住宅の移転需要が落ち着き、下落や上昇幅の縮小が続いている。

岩手の沿岸9市町村の住宅地は0.7%下落した。下落は3年連続。9市町村のうち陸前高田市が下落から上昇に、釜石市が横ばいから上昇に転じたが、不動産鑑定士の細川卓氏は「2市では段階的に家賃が上がる災害公営住宅から中古物件を求める動きなど住み替えの取引があったが、一時的なもの」とみている。

一方、内陸部では北上市の工業地が1.5%上昇した。東芝メモリが同市に新工場を建設中で、関連企業の進出も相次いでいる。「住宅地や商業地はまだ動きが出ていないが、工業地は好影響が出始めたと言っていい」(細川氏)という。

福島県は住宅地・商業地ともに上昇したが、住宅地は上昇幅が0.4ポイント縮小した。復旧・復興関連企業による事業所需要が減っているほか、震災後に進んだ人口減少が影響している。

震災や東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う移転需要はピークを越えており、福島市や会津若松市、いわき市などの住宅地では上昇幅が縮小している。

宮城県の沿岸部の住宅地でも、石巻市が0.6%、気仙沼市が0.9%それぞれ下落し、いずれも下落幅は拡大した。下落率の大きかった10地点のうち津波被災地は4地点あり、人口減少に加えて復興需要が落ち着いたことが影響した。

■青森・秋田・山形、上昇の兆しも

青森・山形・秋田の3県は下落が続いているが、地価上昇の兆しとなる動きも出ている。

青森県の住宅地は19年連続で下落したが、下落幅は0.2ポイント縮小した。むつ市は18年度からインフラ整備費などの削減を目指し、住宅を市中心部へ誘導するコンパクトシティー化を推進。同市の住宅地の下落幅は0.3ポイント縮小した。不動産鑑定士の鈴木泰雄氏は「徐々に効果が出てきている」と話す。

山形県では山形市の住宅地が4年連続、商業地が2年連続で上昇した。昨年、百貨店の十字屋が閉店、中心部では空店舗などが目立つが、デベロッパーがマンション用地取得に動いている。全用途平均で上昇したのは山形市と東根市、三川町の3市町で、子育て世代を呼び込んだ市町が上昇している。

秋田県の住宅地の下落率は6年連続で全国最大だった。一方、商業地は6年ぶりに全国最大の下落率から脱した。秋田駅前の商業施設「フォンテAKITA」が27年ぶりに上昇に転じた。JR東日本秋田支社の学生マンション・合宿施設などが20年に完成予定で、不動産鑑定士の戸沢一喜氏は「居住人口の増加で土地需要が出てくる可能性がある」と話す。

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