断捨離でおしゃれに 1年着ない服は手放すのが鉄則

「クローゼットはパンパンなのに着る服がない」「育児と仕事に追われて、服のことを考える余裕がない」「断捨離したいけど、捨てるべきものが分からない」――。ワーキングマザー(ワーママ)によくある悩みではないでしょうか。「クローゼット向上委員会」という名称で、多くの悩める女性の個人コンサルティングを行っている「ミランダかあちゃん」こと輪湖もなみさん。おしゃれのコツは量(服の数)ではなく、質だという。毎日の服選びが時短になり、かつ楽しく、自分に自信が持てるようなワードローブづくりについて、輪湖さんに聞きます。
クローゼットに服がぎっしり、でも「着る服がない」と毎日悩む
日経DUAL編集部(以下――) はじめまして。ミランダかあちゃんさんは、「クローゼット向上委員会」という名称で、個人のクローゼットのコンサルティングをしているのですよね。
輪湖もなみさん(以下、輪湖) そうです。自分のクローゼットを「どうにかしたい」と悩んでいる女性は本当に多いです。自宅に伺って、ワードローブを拝見し、解決したい悩みを聞いて、手持ちの服でコーディネートを組み立てたり、仕分けして捨てたり、一緒に買い物したりもしています。これまで何百件と見てきましたが、皆さんやっぱり悩みは似ています。書き出してみると、こんな感じでしょうか。
・クローゼットに服がぎっしり入っているのに「着る服がない」と毎日悩む
・毎日、組み合わせを考えるのが面倒
・断捨離したいけど、捨てるべきもの、残すべきものが分からない
・トレンドをどれぐらい取り入れるべきなのか迷う
・いつも無難な組み合わせが多く、気が付くと「ジミーちゃん」に
―― どれも、すごくよく分かります。育児や仕事に忙殺されていると、毎日の服選びがもはや楽しみではなく、つらいことだと感じてしまっているワーママは多いと思います。
輪湖 子育てしながら働いている女性はとにかく忙しいですよね。私もかつてそうだったのでよく分かります。新卒入社したアパレル企業で妊娠出産を経験し、0歳代から保育園に子どもを預けて復帰しました。
―― ワーママの先輩ですね。
輪湖 アパレル企業勤務なので、トレンドの服を着なくてはならないというプレッシャーはありつつ、当時は今みたいな、おしゃれな抱っこひももなかったので、おんぶひもをバッテンにかけて、毎日必死でした。でも今や娘は大学生になりました。子どもが小さいときは、自分のことになかなか手が回らないものですが、「いずれ皆さんも楽になる日が来ますよ」と声を大にして伝えたいです。
服には「賞味期限」があるという現実を受け入れて
―― クローゼットには、服がぎっしり入っている、でも「着る服がない」と毎日悩んでしまう。まず、多くの人が悩んでいるのが、これではないでしょうか。

輪湖 クローゼットのコンサルティングに行っても、やはり、服をたくさん持ち過ぎている方は多いですね。
―― 「捨て時」を見極めるのは難しく感じますが、どう考えればいいのでしょう。例えば、ある程度長く生きていると、流行が一周してくるのを目の当たりにします。今着ていなくても「またいつか流行するかもしれない」「またいつか着るかもしれない」と思ってしまいます。
輪湖 まずお伝えしたいのは、服には「賞味期限がある」ということ。「一生もの」の服はないと考えてもらったほうがいいと思います。また、服はヒップに敷かれたり皮脂がついたりして、着用すれば必ず傷みます。くたびれた5万円のセーターを着るより、シャキッと新しい5千円のセーターを着たほうが、ずっとすてきに見えますよ。
―― でも、「あれ、これ持ってるかも?」と思うような懐かしい服がはやることがありませんか。
輪湖 似ているように見えても、全く同じということはあり得ないです。例えば、2018年は、ちょっと懐かしく感じるようなジャケットがはやりましたが、やっぱり昔とは微妙に変えてあります。というのも、アパレル企業だって、みんなが持っている、全く同じものを売っても売れないことは分かっていますから、必死で作り変えています。似ているように見えても、着てみると「あれ、なんかちょっと違うかも」と思うと思いますよ。ユニクロの定番商品だって毎年、少しずつ形は変わっていますからね。
アパレル業界の現場を見たからこそ、言えること
輪湖 アパレル企業は、とにかくあの手この手で、消費者のクローゼットにないものを考え出して売っているわけです。自分自身もアパレル企業に勤めていたとき、どうやったらお客様のクローゼットに自分の会社の服を入れてもらうか、必死に考えていました。買ってもらうために知恵を絞って店づくりやイベントなどを行い、いったんクローゼットに押し込んでもらえればそれでOK。「ありがとうございました!」という感じです。
正直言って、当時は「クローゼットに押し込まれた後」のことは何も考えていませんでした。今、クローゼットのコンサルティングをしているのは、「その後」に関心が出たからでもあります。消費者とアパレル企業のちょうど中間的な視点を持つことができる立場にいるので、皆様のお役に立てることがあるのではないかと思いました。アパレル業界の現場を見たからこそ、言えることはあります。
―― いつから独立されたのですか。
輪湖 子どもが小学校に入学するタイミングで退社しました。実はその後16年間、ウエディングのブーケやテーブルフラワーのアレンジメント、展示会の花の生け込みなどを請け負う装花業をフリーランスでしていました。2016年からファッションブログを始めたところ、おかげさまで色々お声掛けいただくようになり、現在は、ライフワークともいえる、クローゼットのコンサルティング業務のほかに、クローゼットに眠っているスカーフなどをリメイクする自分のブランド「スタイル04(スタイルレシピ)」などファッションに関わる様々なビジネスを手掛けています。
ちょっとした理由で、服は着なくなる
―― 話は戻りますが、クローゼットに残しておいても、「いつか」は来ないのでしょうか。
輪湖 来ないと思います。
―― そうなんですね。でも、高かったコートなどは「捨てられない組」に入りがちです。
輪湖 皆さん、体感しているかもしれませんが、服自体の機能は年々進化しています。やはり最近の服は、着心地がよく、軽くなっています。服に機能性を求める人にとっては、昔の服、特にコートなんかは改めて着ると重いと感じて着られないと思います。気合を入れて、おしゃれとして昔の服を着たい人はそれですてきだと思いますが。
クローゼットのコンサルティングをしていても、よくあるケースですが、高かったからと残してあっても、やはり「着ない理由」があるんです。「腕が上げにくい」「片手でボタンが留められない」など、本当にちょっとしたことで服って着なくなるのです。
手放すときには、着ない理由をちゃんと把握することも大切です。でなければ、また同じようなものを買ってしまいます。

お店も、自宅のクローゼットも法則は同じ
―― ある程度の期間着なければ、手放したほうがいい、ということでしょうか。
輪湖 「春夏」と「秋冬」の2シーズン、つまり1年間着なかったら手放すぐらいでもいいかもしれません。数年前の在庫が残っているなんて邪魔でしょうがないですよ。限られた売り場スペースを有効に活用できません。
―― 売り場ですか?
輪湖 実は、お店も、自宅のクローゼットも法則は同じです。自分がお店に行くとしますよね。まず、服がぎちぎちにかかっていたら、見る気は起きますか? すべての服が見やすく、かつ、手に取りやすく、アイロンがかかっていて、すぐ着られる状態だから買おうという気が起きます。
おしゃれかどうかは、量ではない
輪湖 例えば、お店に行ってトップスを試着したら、お店の人が、トップスにぴったり合うボトムスやアクセサリーをすぐに出してくれた経験はありませんか? お店では、買ってもらうために、ちゃんとベストな組み合わせを考えて、準備しています。自宅のクローゼットも、このトップスには、このボトムスを合わせて、アクセサリーはこれで、とパーフェクトな組み合わせで準備されていたら悩む必要もないですよね。
―― なるほど、ぎゅうぎゅう詰めで、組み合わせも決まっていないクローゼットを前にしたら、手も伸びないし、毎日悩んで当然ですよね。
輪湖 これは確実に言えるのですが、服の絶対量を減らせば自然に見やすくなります。コンサルティングに行っても、ざっくり言って、10人いれば9人は服が多過ぎです。反対に服が少なくて悩んでいるのは1人ぐらいでしょうか。
これまでの私の経験上、服を300枚以上持っていて「この人おしゃれだなあ」と思った人は一人もいません。おしゃれかどうかは、量ではないと思います。

(取材・構成 小林浩子=日経DUAL編集部、写真提供 輪湖もなみ)
[日経DUAL2019年1月9日付の掲載記事を基に再構成]
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