絶滅危惧ジュゴンの死骸 沖縄・今帰仁村沖で漂流
沖縄本島周辺で生息が確認されている絶滅危惧種の海獣ジュゴンの死骸が沖縄県今帰仁村の沖合で漂流していたことが19日、分かった。今帰仁漁業協同組合が明らかにした。防衛省沖縄防衛局などの調査によると、日本で生息がはっきりと分かっているジュゴンはわずか3頭。自然保護関係者によると、体の特徴から死骸はこのうちの1頭で、同村沖を主な生息場所としていた雌とみられる。

組合によると、ジュゴンの死骸は体長約3メートル。頭部や顔、胸のひれに傷や出血があったほか、さまざまな部分の皮がむけていた。18日午後5時すぎ、陸から約200メートル沖に漂流しているのを漁業者が発見し、県などに連絡した。
ジュゴンは熱帯や亜熱帯の浅い海にいる哺乳類で、日本では沖縄本島の周辺だけで確認されている。国の天然記念物で、環境省は2007年に絶滅危惧種に指定した。米軍普天間基地(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古に面した大浦湾の藻場では、ジュゴンが食べたとみられる餌の跡が見つかっている。
沖縄県の玉城デニー知事は19日、官邸での安倍晋三首相との会談で、ジュゴンの死骸が見つかったことを伝達。死亡原因究明のために辺野古沿岸部での土砂投入を中止するよう求めた。首相は「残念だ」と応じた。会談後、玉城氏が記者団に明らかにした。〔共同〕