球場が呼んでいる(田尾安志)

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「開かずに打つ」は万能か 定説疑う目を持とう

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2019/3/26 6:30
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ソフトバンクのキャンプといえば、今年は午前をまるまる走り込みに充てていた日があった。工藤公康監督とは西武で一緒にプレーしているが、当時の広岡達朗監督ばりに選手をいじめ抜くメニュー。その内容もさることながら、さらに驚いたのは内川ら主力が必死に取り組んでいたことだ。ベテランともなればマイペース調整、別メニューでの練習が許される立場だが、そこにあぐらをかかない姿勢は大したもの。何歳になっても理想の打撃を追求し、若手に交じって汗をかこうとする姿勢がある限り、選手生活の終わりはまだまだ先のように思える。

皆が高め合う環境、強さの一因

こういうベテランがいると、若い選手は「これだけやらないといけないんだ」と身をもって1軍で生き残ることの厳しさを知る。若手が必死に練習し、中堅・ベテランは負けじと自らにむち打つ。そうして高いレベルでの競争が繰り広げられ、ポジションを取った選手は真のレギュラーとなる。そうやって皆が高め合う環境があることがソフトバンクの強さの一因なのだと思う。基本に立ち返ったキャンプの様子などから、今季は西武からリーグ覇者の座を奪還する可能性が高いとみている。

オリックスには現在、吉田正くらいしか真のレギュラーと呼べる選手がいない=共同

オリックスには現在、吉田正くらいしか真のレギュラーと呼べる選手がいない=共同

一方、厳しい戦いを強いられると予想するのがオリックスだ。内川のほかにも柳田悠岐、松田宣浩とナインを引っ張っていける選手が多いソフトバンクと違って、オリックスの野手陣にこの手の選手は見当たらない。本来ならT―岡田がその立場にいるはずだが、おっとりしていてリーダーという感じではない。西村徳文新監督は福田周平を主将に抜てきしたが、まだプロ2年目。押しも押されもせぬリーダーになるには時間がかかるだろう。

昨季全試合に出場して打率3割2分1厘、26本塁打の成績を残した吉田正尚くらいしか真のレギュラーと呼べる選手がいないから、リーダーになり得る人材が乏しいのも仕方がないか。首脳陣がしっかりとリーダーシップを発揮すれば事足りるともいえるが、監督・コーチのほかに、立場を同じくする同僚からも「こうしよう」といった声が上がると選手はやる気が増すもので、チームの士気向上にもつながる。選手同士が自発的に活気を生むチームはポジションを巡る競争が激しく、チーム力の底上げも期待できる。

オリックスは今季、金子弌大(現日本ハム)に西勇輝(現阪神)と投手陣の両輪が抜けた。次代のチームを背負う選手があまり育っていない中、野手陣を含めても支柱に当たる2人が相次いで去ったのは痛い。せめて、この痛みが新たなステップのための「成長痛」だったと後に振り返れるよう願いつつ、29日の開幕を待ちたい。

(野球評論家)

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